そして、皆さん、あえて知ろうとはしなさるな、

 いやいや、福島原発の本当のところはどうなのかといった話ではない。

 わかるように、ちゃんと書く。

 そして、皆さん、あえて知ろうとはしなさるな、
 ポーランドが東の弓をどこに引くのかとか、
 また、こう訊いてもいけないのだ、
 どんないかがわしい行為で、
 イギリスの家庭に自由が与えられ、
 太陽の下でピクニックができるのかと。


 これはイギリスの作曲家、ブリテンの「春の交響曲」の第8曲、「芝生に出て寝ていると」の歌詞の最後の1節である(「の」が多くてすまんのぅ)。
 詩の作者はW.H.オーデン(1907-73)。
 ポーランドが引こうとしている東の弓ということの意味がよくわからないが、まあ戦争のことなんだろう(この歌詞邦訳はガーディナー盤の解説から転載した)。

a6c9fefa.jpg  そこで今日は、あんまり関係ないけど、チャイコフスキー(Pytr Il'ich Tchaikovsky 1840-93 ロシア)の交響曲第3番ニ長調Op.29「ポーランド(Polish)」(1875)。

 この交響曲はチャイコフスキーが書いた交響曲の中で、唯一の(主調が)長調作品である。

 楽章は5つあり、メロディーも親しみやすいが、やや緩慢な感じがするためか人気はいま一つである。

 標題の「ポーランド」は東の弓を引こうとしている国そのものを指しているのではなく、終楽章が「ポロネーズのテンポで」とあるために、イギリスで演奏されたときに付けられた(またイギリスかい!)。
 その指示が書かれている第5楽章のスコアを載せておく(掲載譜はDover社の大判スコ ア)。

 聴かれることがあまり多くない曲ではあるが、私のクラシック音楽鑑賞史の中では、比較的早いうちに知り、けっこうはまって何度も聴き返してきた曲の1つである。

 特に印象に残っているのは、よく聴いていた中学2年生のとき、このころ通っていた歯医者での治療のこと。毎度毎度、ひっどく痛かった。あの医者、絶対ヤブだったと思う。
 歯医者に行きたくないなぁ、という思いが、この曲の憂鬱な冒頭にリンクする。

 なお、チャイコフスキーはこの前の交響曲、つまり第2番ではウクライナの民謡を多く用いたが、第3番ではドイツの音楽を意識しているという指摘もある。
93ec3b5c.jpg  先日購入したアバド盤を聴くと、この演奏では特にロシア的雰囲気は希薄である。チャイコフスキーがドイツの作曲家のシンフォニーを勉強しつつ書いたような、真面目な姿勢が感じられる気がしてくる。

 第3番が書かれたあと、チャイコフスキーはフォン・メック夫人から資金援助を申し入れられる。
 交響曲第4番はフォン・メック夫人に捧げられたが、第3番はその転機の前の作品ということになる。

 歯医者の痛々しい思い出のことを書いてしまったが、そして確かにちょいと長ったらしいんじゃないのという部分もあるが、この第3交響曲、とても魅力的な交響曲だと私は思っている。

 さて、今日はこれから必要に迫られて遠出。2時間ほど運転する。
 渋滞してなきゃいいが……
 渋滞情報?知ると気が重くなるので、あえて知ろうとはしない。