木曜日の東京からの帰り。
 飛行機は3列+3列の小さな機種。
 そんなこともあって満席。航空会社にしてみれば計画通り高効率の輸送を実現。

 満席はともかくとして、このフライトで懐かしい人に再会した。

 その人はNさんというキャビン・アテンダント。昔で言うところのスチュワーデスである。

 大阪に単身赴任時代、私は何度も千歳-大阪便で同じ便に乗ることがあったが、不思議とそのNさんの乗務と重なることが多く、少しだけ顔見知りとなったのだ。

 当時は関西の所属だと言っていたが、なぜに今回は羽田-千歳便に乗っていたのだろう。

 今回搭乗したときに、ちらっと視界に入った顔を見て、「もしかしたらそうかなぁ」と思ったが、あとから私の席のところへやってきて「お久しぶりです。今でも〇〇を買ってますよ」と言った。やっぱNさんだったのだ。ちなみに、〇〇というのは当社の商品である。

 それ以上の話はしなかったが、関西から転勤になったのかどうかを聞けばよかった。なぜなら「今日は大阪じゃないんですか?」と私の方がが尋ねられたからだ。

 「はい。札幌に転勤になりました」
 「そうですか。もう10年くらい前の話ですものね」
 「正確には2003年から2005年のことです」

 というやり取りでわかるように、Nさんはベテランである。年齢はよくわからないけど、〇〇を愛用してくださっているというところからすると……いや、なんでもない。

 さて話題は変わる。

 一週間ほど前に届いたCDラックをこれから組み立てようと思う。
 Amazonで買ったものだが、商品はジョーシンから直接送られてきた。
 大阪にいるときはあっちこっちにジョーシンの店があって、私が住んでいたマンションの近くにもあったので懐かしい。そして、ジョーシンと聞くとシンジョーの白い歯の笑顔が頭に浮かんできて困ってしまう。

 私が知っている範囲では、北広島市にジョーシンがあるが、なぜ唐突に北広島市にジョーシンなのか不思議である。北広島の街には“太陽電器商会”みたいな店名の方が似合う感じがする。

2ebb081a.jpg  ラック組立ての作業時には、ショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakovich 1906-75 ソヴィエト)の交響曲第4番ハ短調Op.43(1935-36)を聴くつもりである。
 BGMにふさわしい曲ではないが、慣れ親しむには有効な手段だ。

 昨日もこの曲をヤンソンス/バイエルン放送交響楽団(2004録音。EMI)の演奏で聴いたが、実は第4交響曲は私にとって、ショスタコのシンフォニーのなかでもあまり仲良くない作品なのである。

 その開始。
 いきなり絶叫するような開始は、ショスタコーヴィチの交響曲では珍しい。

 そしてカッコよく堂々と、でも陰気に進む。
 このあたりはいいのだが、だんだんとついていけなくなってくる。
 すごい曲に間違いないことはわかるが、何がすごいのかつかみきれない。
 タコ4は私にとってそういう曲である。

 これ、かなり革新的な曲だ。
 革命記念日に初演するべく書かれた曲だから、ってわけじゃないだろうけど。

 この曲が経験した悲しい運命については前に書いたが、その初演のためにリハーサルに入っていたにもかかわらず、ショスタコは急に初演の中止を決定した。
 もしそのまま初演していたら、たぶんショスタコはそこで音楽界から永久追放になっただろう(殺されたかもしれない)。

 こうしてこの交響曲は、それから25年後の1961年、“雪解け”となってから初演された。

 早書きのショスタコーヴィチにしては珍しく、第4交響曲は構想から完成するまでに8か月を要している。それほどの大作ということだ。また、編成も彼の交響曲中最大である。

 つーことで、厳しい音楽だ。
 聴く者にとっても、けっこうな覚悟がいる(CDラックを組立中の場合を除く)。
 このころショスタコが熱中していたというマーラーの影響があるとされるが、マーラーのようには私にしみてこない。ロシアの女スパイ、鉄女のような怖さすらある。マーラーの交響曲も複雑だが、タコ4に比べればはるかにウェルカム・モードだ。

 ヤンソンスの演奏は、それでも聴きやすい。
 逆に言えば、あまり緊張感を強いてこない、ということなのかもしれない。
 でも、私にはありがたい演奏だ。タコ4と友好関係になれそうな予感……

 ところでこの曲の第2楽章には、第15交響曲チェロ協奏曲第2番の曲尾に現れる不思議なリズム、“点滴のリズム”といわれるものが登場する。
 晩年ではなく、この時期に書かれた作品にすでに登場するということは、本当は“点滴のリズム”と呼ぶのは勝手な思い込みのような気もする。

55deb03b.jpg  タコで思い出したが、昨日失ってしまったものがある。
 ヘッドホン(インナーイヤー・タイプ。いうなればイヤホンである)の耳に入れるところのパッド、つまりタコの吸盤みたいな部分が外れていて、どこへ行ったのかわからなくなった。

 いや、それだけのことである。

 さて、段ボールを開けるとするか……