5月も末になり、新緑がまぶしい。
目に痛い。
腹が立つほど、緑が目に痛い。 というのも、新緑は新緑でも、新緑なのはアブラムシだからだ。
近くで見ると憎しみがわき上がって来るのを抑制できないくらい、新鮮でぴちぴちとしたジューシー感ある緑色をしている。
しっかし、ついこの間まではすっごく寒かったのに、なんでこいつら活動モードに切り替わるのが早いんだろう。
で、このあとの彼らの運命はご想像におまかせする。
いや、私はマラソン乳剤をかけただけだ(今回は霧吹き(といってもアイロン用の小さいのではなく、農薬用)で簡易的に)。
CDラックも完成した(写真2番目。そりゃ、どー考えても1枚目じゃないわな)。
さすがオーディオテクニカ製。どこかの安い文庫書棚みたいなものと違って、組み立ててい ても感動するくらいねじ穴が一致する。
これまで寝室にあった既存のラックも移動し、私の部屋には新旧のラックが2台向き合って置かれた。
私の部屋というのは家の間取り図上では納戸と称されている。
リビング、寝室、子供部屋、和室に比べ明らかに特徴的なのは狭いということだ。風呂よりも狭い。唯一ほかの部屋と同じなのは天井の高さだけだ。
それはそうと、今までCDを入れていた無印良品で買い集めたの透明なアクリルケースの行き場がなくなってしまった(写真に写っているのはほんの一部。その昔、よくこんだけ梅田の無印でケースを買い込んだものだ)。
土を入れてアリの巣の観察実験にでも使うしかないか……(いえ、この私がするわけありません)。
アリの観察って、夏休みの自由研究のテーマの1つとして紹介されることもあるが、果たしてそんなこと可能なんだろうか。透明の容器だから土中の巣の様子がわかるだろうってものだが(あちこちの部屋に卵があったり食料が保管されているはずだ)、そもそも働きアリだけ入れたって巣は形成されないだろうし、女王アリを見つけるなんて至難の技だろう。仮に女王アリを見つけても、わたしゃ触りたくないね。
どういうもんなんですかね?
こういう実験、可能なんですかね?
実験と言えば、音楽にも実験を行なうという流れがあった。
その名も実験音楽(experimental music)。すっごい工夫のない名前だが、潔いと言えるくらいわかりやすい名称とも言える。
何がわかりやすいのかよくわからないけど……
これは現代音楽(これってもう時代遅れ的な言葉だ)の流れの1つで、主犯格、いや中心となったのはケージ(John Cage 1912-92 アメリカ)。
ケージの定義によれば、実験音楽というのは不確定性の音楽や偶然性の音楽のことをいう。
偶然性ということは、再現性がないということである。
つまり作品が演奏されるごとに、違う“音楽”となる(厳密に言えばどんな曲でも生演奏だったら、毎回違うんだけど)。
その代表的な作品は「4'33"」(4分33秒。1952)。Yonpun sanjyusanbyo。
すいません、余計なことをしてしまいました。
この曲、前にも取り上げたが、もう一度取り上げてみる。何となく、この試みが好きだから。
楽器の指定はされていないが、私にはピアノ曲という印象が強い(もともとはピアノによる演奏を想定していたが、改訂以後はどのような編成でもよいことになった。改訂?下の写真の解説に何か書かれているな)。
というのも、むかし雑記の「FMfan」に連載されていた漫画で、ピアニストがこの曲を“弾く”物語があったからだ。おそらく、ピアノによる初演時のことを描いた漫画だったのだろう。
演奏者がステージに出てくる。
そこから時間を計る。
4分33秒経ったらステージから去る(というか、初演時の合計時間が4分33秒だったのでこの名がついたという)。 つまり演奏者は音を出さない。
ということは、私にも勇気と機会さえあれば、この作品を演奏できるということになる。
「最近ピアノを初めてね。やっと小品を1曲弾けるようになったんだ。ゲンダイオンガクなんだけど」
「えーっ、すっごぉぉぉ~いぃぃぃ~。弾いてみて」
という具合に、ピアノが置いてある店でなら私が人気者へと変身する可能性があるが、同じピアノが置いてある店でもYAMAHAのショールームなんかでは口が裂けても言ってはいけないだろう。店員から「弾いてみて」とも言われないだろうし。
それに、仮にそのようなシチュエーションになったとしても、私の性格的に二度とその店には出入りできなくなること保証付きである。
音を出さないのに、じゃあ、この「4'33"」のどこが音楽なのか?
ここでケージが“奏でようとした音楽”は会場の音、言ってみれば騒音である。 奏者がステージに現れる。
いつまでたっても音を発しない。
そのときに外からの音が微かに聞こえてくるかもしれない。だんだんと会場はざわついてくる。そういう音が混じりあう。これがケージが作り上げる“音楽”であり、当然のことながら演奏のたびに生成される音響は異なる。おぉ、グーゼン性!
これを理論っぽく説明すると、《日本音楽などにおける音の休止〈間〉、すなわち無音の緊張感、そこに入ってくる外界の音響、聴き手の身体が感ずる音が、一つの音楽を作ると説明されている》(井上和男編著「クラシック音楽作品名辞典」:三省堂)ということになる。
楽譜(?)によると、この作品は3つの部分に分かれている。
えぇ、ちゃんと楽譜が出版されているんです。私が物好きにもお取り寄せして買ったのは、写真のPETERSのもの。
うんだらかんだら説明が書かれていて、実際の“楽譜”はあまりにもあっさり。
Ⅰ、休止せよ、Ⅱ、休止せよ、Ⅲ、休止せよ。
以上。
楽譜の説明にもあるが、3つの部分の時間配分は30秒、2分23秒、1分40秒。 このような作品だから録音するなんてことはナンセンスってもんだ。だってCDをかけても基本的に無音なんだもの。
でも、それでも聴いてみたいと思うのが人情ってもの。
CDを再生しているときに外からカァカァというカラスの鳴き声が聞こえてきたり、宅急便のトラックの音がしたり、子供の泣き声やら自転車のブレーキの音が耳に入ってくるかもしれない。聴いている私の「腹減ったなぁ」というつぶやきや、腹の音、心臓の鼓動を感じるかもしれない。
こういうのが混然一体となって、ほうら、一度限りの音楽が生まれるのだ。
んっ。だったらCDなんかなくても、4分33秒の間、ただおとなしく座っていればいいってことじゃん。いや、寝転んだっていい。
あるいは、スタートと同時にカップヌードルにお湯を注いだなら、出来上がって口にできる3分20秒あたりからはズルズルという音も加わり、華やかな幸福感溢れる音楽に変貌するだろう。 で、前に紹介したCDをもう一度取り上げるが、あなたがCDを手に入れられなかった場合、あるいは節約を心がけている場合は、買わないで4分33秒の間、瞑想にふけりましょう。同じ効果が求められると思います。
でもね、このCD。実は節目節目で何か正体不明の音が聴こえてくるんです。
ほぅら、聴きたくなってきたでしょ?
廃盤だけど。
プロフィール
MUUSAN
クラシック音楽、バラ、そして60歳代の平凡ながらもちょっぴり刺激的な日々について、「読後充実度 84ppm のお話」と「新・読後充実度 84ppm のお話」の2つのサイトで北海道江別市から発信している日記的ブログ。どの記事も内容の薄さと乏しさという点ではひそかな自信あり。
新館入口(2014.6.22~)
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