8c7b842a.jpg  まったく唐突なぼやきだけど、この間テレビのニュースを見ていたら女性のレポーターが何かしゃべっていて、画面の右上に小さく出ていたその名前を見て、「へぇ、この人ハーフなのかな」と思って、もっとテレビに近づいてみたら、そのテロップは「中継リマ」。

 つまり「なかつぎリマ」さんという名前ではなく、リマからの中継だったってこと。

 いや、どーでもいいですよね。
 そろそろ新しいメガネにした方がいいですよね。

 次はまったく唐突な疑問だけど、ドイツで大量の患者が発生したO104の原因がモヤシかもしれないという説もあるが、ドイツでモヤシを食べる習慣があるなんて知らなかった。どういうふうにして食べるのかな。やっぱ炒めるのかな。おひたしはないよな(もやしのおひたしは、私の好まない料理の1種である)。
 ただそれだけ……

 まったくふと思い出したんだけど、札響の欧州公演のアンコールではエルガーの「ニムロッド」をやったそうだ(北海道新聞に書いてあった)。
 この曲(「エニグマ変奏曲」の第9変奏)は、確かに感動的である。そして、アンコールに向いている曲だと思う。
 テミルカーノフ/サンクトペテルブルク・フィルの札幌公演で、「悲愴」のあとにこの曲をアンコールでやったのを耳にしたとき、「うまい選曲だなぁ」と思ったものだ。

 今回は指揮の尾高が東日本大震災のお話をしたあとこの曲を心を込めて指揮したらしい。新聞によると、会場は感動に包まれたそうだ。そういう話のあとに聴くと、「ニムロッド」はとりわけ感動的なのだ。なかなかの演出である。でも、尾高さんは外国でもステージの上でおしゃべりをしているんだ……

 最近タワレコに行くと、やたらアルゲリッチの顔が目につく。
 目についた副作用として、手に取ってしまう。
 手に取った勢いで、レジのお姉さんにお金を渡したくなる。
 お金を渡した見返りとして、家の中でもアルゲリッチの顔がやたら目につくようになる。
 いや、勘違いしている人はいないと思うが、一応断っておくと、私の妻の名前はアルゲリッチとは言わない。そもそもお金を渡した見返りがそれだとしたら、世の中間違っている。アルゲリッチのCDが増えたという意味だ。

 タワレコでなんでやたらアルゲリッチの顔が目につくのか?
 顔どころか“アルゲリッチ”と書いたPOPもやたら貼ってある。
 なぜか?

 今年はアルゲリッチの生誕70年だからだ。
 記念の年だ。
 有名な人は70歳を迎えるに当たって「生誕」という言葉を使ってもらえるが、フツーの人なら「もう、70の老人になったかぁ」で終わられてしまう。世の中、平等なんてないのだ。

 そんなひがみは置いといて(でも言っておくが、私はまだまだ70歳には程遠い)、そのアルゲリッチがソロを弾くチャイコフスキー(Petr Ilyich Tchaikovsky 1840-93 ロシア)のピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23(1874-75,改訂/'79',88)。

 私は今さらながらこのCDを買ったが、ジャケットに記憶があるから、初出のときにはけっこう話題になったに違いない。

 それにしても実にダイナミックでエキサイティングな演奏だ。
 聴く前に想像した以上だった。
 このコンチェルトがすごい曲だと、久々に感じた次第。

 この協奏曲は絢爛豪華とも言える序奏が終わって主部に入るとき、突如陽が陰って濃霧に包まれたように雰囲気が変化する。
 小型船ならツツツ・ツーツーツー・ツツツだ(モールス信号でSOSです)。 

 並の演奏ならこのあたりで私の気持ちもいったんモヤに包まれたようになるのだが、アルゲリッチの演奏はハリが持続したまま。このあたりの緩みのなさはすごい。
 そして、どうしてあんなに粒だつような音が出るのか?プリペアド・ピアノかぁ?

 とにかく、第1楽章はこのあともあっという間に聴かせ終わり、第2、第3楽章へとあれよあれよと進んでいく。渦にのまれた小舟のような私。

 いやぁ、すっごいピアニストだ。
 でも、私は彼女にのめり込む気がしないのは、なぜなんだろう?(70歳だからという問題ではない)。

 指揮はアバド。管弦楽はベルリン・フィル。1994年のライヴ。グラモフォン。
 カップリング曲はアルゲリッチとエコノムのピアノ・デュオによる組曲「くるみ割り人形」。

36b678fd.jpg  そうそう、セーゲルスタム指揮ロイヤル・ストックホルム・フィルの演奏によるシュニトケの交響曲第1番(BIS)。第2楽章が始まり盛り上がったあとの4分半過ぎあたり。オーケストラが突然混然となったムチャクチャな響きを発するが、そのなかでチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の冒頭が鳴り響く。
 ロジェストヴェンスキー盤(CHANDOS)ではここの部分、まったく違う音楽となっているのでアドリブという指示がなされているのだろうが、セーゲルスタム盤の方が断然面白い。
 そのあとのジャズ(としか私には聴こえない)の即興演奏もすごい!ライヴ録音だが、聴衆から拍手がわき起こる。