昨日6月10日、19:00~。札幌コンサートホールKitara。
指揮は秋山和慶。
ソリストはピアノが小曽根真。トランペットは、原発事故の影響を心配した家族から「セルゲイ、頼むから行かんどいてぇ」と泣きつかれ(想像)、来日中止を決断したナカリャコフに代わり、札響首席奏者の福田善亮が務めた。
ナカリャコフが来なくなったことで、当初プログラム1曲目に予定されていたアーバンのトランペットとオーケストラのための作品「『ヴェニスの謝肉祭』の主題による変奏曲」が割愛され、2曲目以降に予定されていた4曲、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番とレスピーギの「ローマ3部作」が演奏された。
「ローマ3部作」の演奏順は作品が書かれた年の順ではなく、最初に演奏されたのは3部作の最後の作である「ローマの祭り」(1928)。
3つの交響詩の中では最も巨大でパワフルな作品から秋山は始めた。
2曲目は3部作では最初に書かれた「ローマの噴水」(1914-16)。「祭り」で大騒ぎした後にしっとりとした「噴水」を持ってくるのはうまい演出だと思った。オーケストラもここで少し休めたのではないかと思う。
そして最後は3部作の中で最もバランスがとれた傑作「ローマの松」(1924)。
「ローマの松」を生で聴くのは確か22年ぶり(「祭り」と「噴水」は生の経験なしだが)。前回は札響の第300回定期で指揮は今回と同じ秋山和慶だった。
細かなところではいくつか不満が残ったものの、演奏は3曲とも立派なもの。レスピーギの見事な色彩感がきらびやかにホールに響き渡った(Kitaraのオルガンの音もGood!)。
「祭り」「噴水」「松」という演奏順序は、あたかも緩徐楽章を中央においた3楽章からなる1時間ほどの交響作品を聴いているかのよう。その最後は「祭り」ではなく「松」であることによって、散漫な感じを残すことなく、巨大な絵巻物がピシッと閉じられた。この配列は良かった。
なお、「松」のナイチンゲールの声は“グラモフォン”ではなく、オリジナルの音源のようだった。
「ローマ3部作」の前に演奏された小曽根真と福田善亮によるショスタコのピアノ協奏曲第1番は、どんな小曽根節が聴けるのか楽しみにしていたが、ピアノはとてもおとなしめの演奏。ミスタッチも目立った(それとも“アヤ”か?)。
終楽章になってやっと小曽根らしいノリが。アドリブやオリジナルのカデンツァが楽しかったが、全体としては不満が残った。
トランペットも控えめながら好演。
余談だが、小曽根真というピアニストはクラシック音楽しか聴かない私にはほとんど縁がないが、前にPMFでバーンスタインの交響曲第2番のソリストを務めたときの、あの機知にとんだアドリブ演奏が忘れられない。私はあの一瞬の出来事だけで好感を抱いてしまったのだった。
アンコールとして、ジャズの「クバーノ・チャント」(レイ・ブライアント)が演奏された。 今日はショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番のCDを。
アルゲリッチのピアノ、トゥーヴロンのトランペット、フェルバー指揮ハイルブロン・ヴェルテンベルク室内管弦楽団の演奏。
この演奏もすごい演奏だ。音がぐいぐいと前に出てくる。
しかし、アルゲリッチのあのライヴ録音盤を聴いてしまっている私には、もはや“驚き桃の木山椒の木”とまではいかない。
この録音を先に聴いていたら、こんなにすばらしい演奏があるのか、と思ったことは間違いない。
ただ、ライヴ盤の方はこの曲の決定盤というにはあまりにも過激で正統的名演とは言い難い。末永く落ち着いて聴く分には、間違いなくこちらの演奏の方で決まりだろう。
1993録音。グラモフォン。
新館入口(2014.6.22~)
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