8月19日、19:00~。札幌コンサートホールKitara。
指揮は高関健、ピアノ独奏は小川典子。
“典子”といえば、名前入り包丁……って相当古いCMの話……
1曲目はブリテン(Benjamin Britten 1913-76 イギリス)の「シンフォニア・ダ・レクイエム(Sinfonia da Requiem)」(1940)。
その昔は「鎮魂交響曲」という訳で呼ばれていたが、いまはあまり使われない。
そもそも西洋の概念では死者の「魂を鎮める」というものはなく、死者は安らかに神のもとへ行くのだ。だから「レクイエム」は「死者のためのミサ曲」であって、「鎮魂歌」じゃない。
とはいっても、ブリテンのこの作品を聴くと、きれいごと言ったって、やっぱに、いや、やっぱりキリスト教信者だって「死にたくないよぉ~」って死に抵抗してるんじゃん、って感じがする。
あるいは、大切な人を失ったことを現実として受け入れられない残された人のやるせなさが爆発しているようにも聴こえる。
ブリテンのこの作品は、管弦楽によるもの(歌は入らない)。
皇紀2600年を祝うために日本政府から作曲を委嘱されたが、「お祝いにレクイエムとは何ごとか!」ということで、演奏が拒否されたという経緯をもった作品だ。
ブリテンはこの曲について、「両親の思い出のために」書いたという。
ちなみに、このときほかに作品を委嘱された作曲家と作品は、イベールの「祝典序曲」とR.シュトラウスの「大日本帝国紀元2600年祝典音楽」Op.84である。
高関/札響の演奏は、非常に緊張感が保たれた演奏。
極めて緻密、というほどではないが、高水準の演奏だった。
2曲目はプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番ハ長調Op.26(1917-21)。
プロコフィエフのピアノ協奏曲のなかでも、最も人気がある作品だ。
小川典子というと、現代・前衛音楽にも積極的に取り組んでいて、BISレーベルにはかなり珍しい曲の録音も行なっているが、今回、この“正統的”な作品をどう聴かせてくれるのか、とても楽しみにしていた。
プロコフィエフのピアノ作品と言えば、ピアノを打楽器のように扱う強烈なリズムが特徴で、どうしても「女性ピアニストにはなかなか弾きこなせないんじゃない?」なんてイメージがあるが、小川典子の持つダイナミックさなら、そりゃあ期待できるというもの。
そして、期待以上、ほぼパーフェクトなんじゃないかと思えるほどの、すばらしい演奏を聴かせてくれた。たまらんねぇ。
いや、すっごいピアニストに成長していた(気づくの遅くてすいません)。
これはもう、日本を代表する、じゃなくて、世界の小川典子、って言える。
札響の演奏も質が高く、これまたミスも乱れもなかったように思う。
ピアノに目も耳もすっかり行ってしまっていたので、「思う」としか言えないのだ。でも、「んっ?」と、気になる箇所はなかった。
この日は前半だけで、私はおいとま。
さて、今日はプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番のCDで、アルゲリッチの独奏、デュトワ指揮モントリオール交響楽団による演奏をご紹介。
あのアルゲリッチである。強靭な音、すごいテクニック!
でも、この演奏、私にはどこかもう1つスケール感に欠けるような気がするのはなぜだろう? 1997録音。EMI。
家に帰って北海道新聞の夕刊を開くと、私がこの日聴いてきたコンサートの告知記事が載っていた。
当日の夕刊に載せるのは遅いんじゃない?タイミングとして。
そのせいじゃないが、会場はすいていた。
せめて前日にでも載せてあげれば、何人かは客が増えたかもしれないのに……
この高関健の写真、頭だけが大きく写っていて、おじさん化したポコちゃん人形のようだ。
新館入口(2014.6.22~)
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