ba074596.jpg  火曜日。

 羽田空港内は修学旅行生で混雑していた。
 あっちこっちの学校が一斉に修学旅行に行き始めたようだ。

 私が乗ったANA059便にも修学旅行生が乗り込み満席。
 彼ら彼女らは搭乗口前に体育座りさせられ、乗る前に弁当を渡され、降りるときには必ず空き箱を持って降りるように言われていた。
 千歳に着くのは11:30だから早い昼食となるが、時間節約のためなんだろう。

 修学旅行生は行儀よく乗りこんだ。
 ところが定刻の10時になってもドアが閉まらない。

 「出発時間は過ぎておりますが、まだ20名ほどのご搭乗のお客様をお待ちしております」というアナウンス。

 20名だって!?
 そんなに?

 なんで時間守らないんだよ!
 罰金取るぞ!

 イライラしつつもじっと待っていると(何回機内販売のカタログのページを行ったり来たりめくったことだろう?)、バラ、バラバラ、バラバラバラと乗り込んできた。
 みな中国人(たぶん)。
 席はバラバラだがみんな仲間のようだ。
 「アニャナコニャナ」と話していたから。

 そしてこいつら、こんなに待たせているくせに悪びれた様子がないのが腹立たしい。
 しかも、そのうちの1人のおっさんが運悪く私の隣。
 ひじを張って座るは、私の美しい横顔をじっと見たりするはでろくなもんじゃない。

 結局飛行機は10数分遅れで出発。
 こんなやつら置いといて、出発しちゃえばいいのに。
 あっ、荷物を預けてたらかえって厄介か……
 でも、こういう迷惑行為は厳重に注意してほしいものだ。

 千歳には15分遅れで到着。
 修学旅行生は昼食の時間を節約するために機内で気圧変化と戦いながら弁当を食べたというのに、この心無い中国人たちのせいで彼ら彼女らは15分もロスしてしまったではないか!
 かわいそうに……

 一行の1人は、真っ赤なセーターを着ていた(一行というのは修学旅行生じゃなくて中国観光客の方)。
 よし、わかった。
 真っ赤なセーターを着ておすまししている人が写っているCDをご紹介しよう。

 ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏による、スクリャービン(Aleksandr Nikolaevich Scriabin 1872-1915 ロシア)の交響曲第1番ホ長調Op.26(1899-1900)。
 独唱と合唱も加わる6楽章構成の交響曲である。

 スクリャービンのオーケストレーションについて、ショスタコーヴィチはかなり救いようのないひどいものだと指摘しているが、この交響曲はちょいとスカスカのところはあるもののメロディーの美しさは捨てがたい魅力を持っている。
 ただし、かなり濃いロマティシズムの香りを発散しており、「うわっ、ちょっと恥ずかし」って印象をぬぐい去れない感はある。

 6楽章とはいえ、第1楽章はプロローグ、第6楽章はエピローグの役割を与えられている。
 
 終楽章(第6楽章)は、独唱と重唱が歌われる部分と合唱が歌われる部分の2つに分けられるが、この歌詞はスクリャービン自身の作によるもので、芸術に対する賛美が歌われる。
 このため、この交響曲が「芸術讃歌」と呼ばれることがあるが、これは余計な通称であろう。

 独唱はトチスカ(S)とマイヤース(T)。ウェストミンスター合唱団。
 1985録音。EMI。

 私は赤セーターを着てポーズをとっているジャケット写真のレギュラー価格の国内盤を買ってしまったが(当時の新譜を買った。この写真、いま見るとひどく昔っぽい)、いまはムーティによるスクリャービン交響曲集として廉価な輸入盤(ブリリアント・クラシックス)が手に入る。

 昔、吉田なんとかという女の子が歌っていた「まっかな耳たぶ」とかいう歌があった。ヒットしなかったけど、私はあの歌、地味に好きだった。
 “ぴぴ”にレコードを買いに行って、とっても恥ずかしかったけど「まっかな耳たぶ、ありますか?」と店員さんに聞いた。
 「ありません」と答えられた。
 自分は勇気を奮って聞いたのにそれが無意味だったことに、なおさら恥ずかしさが増した。でも、あのお兄さんが自分の耳を「ほれっ、これでよかったら触ってごらん」とか言われなくてよかった。