683928c0.jpg  土曜日。
 比較的暖かく、まあまあ良い天気。

 でも前回の庭の作業の続きをする気力はなく、ただ偉そうに庭を巡回しただけ(巡回といっても1分もかからない)。
 この時期になってもまだバラのいくつかは花をつけ続けている。特にボッサノヴァ(ボサノヴァ)は、今季これまででいちばん形も色も良い花を咲かせている。
 うまく褒めてあげられないが、たいしたもんだ。

 うれしいから3枚も写真を載っけちゃうことにしよう。
 ボッサノヴァは私がバラを育て始めて最初のころに買ったバラの1つだが、数年で根頭がん腫病で枯れてしまった。

 この病気については予防法がなく、発症した場合も「患部を切除する。この病気で枯れることは少ない」と書いてある本もあれば、「患部を切除するが、衰弱していってその株はほぼ枯れる」と宣言している本もある。

4c6c4d4f.jpg  私の経験からすると、かなりの確率でその株はだめになる。元気に再生したということは、これまでない。

 まだブログを始める前、今とは別な名でmixiへの書き込みを頻繁にやっていたとき(といっても、今の名前も知らんだろうが。ナイショだもん)、バラのコミュニティでこの病気のことを書いたら、1人のオバサンの愛好家が「根頭がん腫病で枯れるなんてありえない」ということをしつこくアドバイスして来て閉口したことがある。

 そのボッサノヴァが枯死したあと、別な株を探していたのだが、ボッサノヴァを店はもちろん、カタログでも発見することなくあきらめていた。と同時に、私の好みはイングリッシュ・ローズに移っていったが、ボッサノヴァの花が好きなら、当然のようにイングリッシュ・ローズの花も好きになる。花の造りが似ているから。今になって気づいたけど……
 ボッサノヴァという品種については、このブログのフォト・アルバムをご覧いただければ、ちd48c54be.jpg ょっとだけ詳しく書いている。

 そのあきらめていたボッサノヴァの株を偶然にも見つけたのは今から2年前のことである。
 その劇的な再開、発見の喜びを綴った、それなのに明らかに手抜きして書いている記事はこちらである。

 そんなボッサノヴァな土曜日に、楽天に注文していた文庫用のスライド書棚が届いた。
 もういい加減、昔買った新書やら文庫を整理しないと、私の部屋(家の見取り図上は納戸と表記されている)の中はトムとジェリーが戦争ごっこをしたあとのように、整然という言葉とは無縁の状況が続くことになる。

 スライド書棚でここは解決!
347b3af6.jpg  そこで私は、土曜日の昼下がりにこれを組みたてた。
 自分でも今回はスムーズに作業できたと思うが、組み立てたあと2階へ移動させるときに傾いたせいでスライドしてきた棚に手をはさんだ。それぐらい性能がいいのだ、スライドの。

 新しい棚に本を収めたが、重要なことを見落としていた。
 棚を置く場所がない……

 しょうがない。すでに棚板が崩壊しかけている古い文庫本用の棚を処分することにした。
 完璧だ!

 新たな問題が湧き起った。
 「マーフィーの法則―現代アメリカの知性」に書かれている“チザムの第1法則”のとおりだ。「何かが順調なときは、何かがおかしくなる」……

 つまり、1つ書棚を処分するということは、そこに収められていた本の行き場がなくなるわけ51fdb022.jpg で、新しくスライド書棚を買ったからといって、その分が純粋に収容量増にはならないということが判明したのだ。

 やれやれ……

 私は決断した。
 もう捨てよう。

 1日明けた日曜日。
 ブルーバックスや文庫本で、もう役に立たないと思われる本を処分する後ろ向きな作業に取り組んだ(10数年前に出版された「薬の新常識」なんて本が今や役立つと言えようか?)。前日に、前途洋々とばかりに棚を組み立てていた自分とは別人のように自分を感じた自分である。

 ネット・オークションに出品することも考えたが、いくつもの同じ本が救いようのない価格で出品され、かつ、入札されていない現実を知り、「めんどうだわい。明日は町内会の資源回収の日だし」と、片付け作業に入った。

 片付け作業のときは、片付けに集中できるような自己主張の強くない音楽をかけるのがよいと思い、私は珍しくもクレメンティのCDを選んだ。

17363287.jpg  クレメンティ(Muzio Clementi 1752-1832 イタリア)は、当時W.A.モーツァルトのライバルだったピアニスト兼作曲家。ピアノという新たな楽器の改造の仕事にも携わり、ピアノ奏法やピアノ音楽の様式の開拓者として足跡(そくせき)を残した。

 捨てる本の選別、そして紐かけ作業のときに聴いたのは、P.SpadaとG.Cozzolinoのピアノによるソナタと連弾ソナタ集。
 収録曲は、

 ソナタ イ長調Op.2-4(1779刊)
 ソナタ 変ロ長調Op.2-6(同)
 3つの連弾ソナタOp.3(同)
 連弾ソナタハ長調Op.6-1(1780頃-81刊)

 1981年から83年にかけての録音。ARTS。

  クレメンティのピアノ音楽は、心を震わすものに欠けるところがあるが(それゆえに、現在はモーツァルトに比べると圧倒的に耳にされる機会が少ない)、しばしばはっとするような美しいメロディーが現われる。
 モーツァルトとここまで差が出るとは、本人も考えもしなかったのではないか?
 もうちょっと聴いてあげてもいい作曲家のような気はする。
 個人的にはクラシック音楽を聴き始めたころ、彼のあるピアノ・ソナタを偶然耳にし、「なんか、イイっ!」と感じた経験がある。そのイイ話はまた今度。

 捨てる本を縛りながら、なんでここまで捨てずにおいたんだろうと考えた。
 そうだ。
 子どもがある程度大きくなったら、興味を示して読むかもしれない。そう思って書棚に並べ続けていたのだ。
 しかし2人の息子は私と違って理科というジャンルにまったく興味を示さなかった。だから特にブルーバックスのシリーズなんて読むことはなかった。

 ただ、これまた「マーフィーの法則」の中にある“リチャードの所有権の法則”の「1. 何でも長時間持っていると、捨てやすくなる。 2. 捨てるとすぐに必要になる」ってことにならないか、やはり心に引っかかっている。