eea4085d.jpg  村上春樹と私の、酒に関する共通点について書いたのはおとといのことだ。

 その共通点というのは、

 ① 若いときに日本酒で痛い目に遭っている。
 ② 歳とともにビールを飲む量が減る。

 というものだ。

 けど、これってかなりの人に当てはまるような気がする。占い師が客に対してさも「あなたのことよ」と個人的事象のように語ることが、実は一般論である内容のように……

 けど、同じエッセイのなかで村上春樹氏はこう書いている。

 ウイスキーはわりに高いものが好きで、……

 これは私とは異なる点だ。

 私は家ではブラックニッカClearというのを飲んでいる。
 実に庶民的な商品なのだ。
 これをハイボールにしたものは、“クリア・ハイボール”と称されることになっているようだ。
 たまに背伸びしてグレードアップしたとしても、ニッカのモルトクラブである。これも庶民的な商品である。

 あれ?
 そっか。私は現実的事情から低価格路線のウイスキーを買っているだけであって、好きなのは?と言われると、やっぱり高い銘柄だ。
 ということは、春樹さんと共通していることになるじゃん。

 ところで、ビールの量を減らし(というよりは、早くにビールから切り替えて)ウイスキーのハイボールを飲むようになったのは、単純にハイボールって飲みやすくて美味しいと思ったからだ。
 私の場合は必ずレモンを搾って入れる(自宅に置いてはポッカレモンを入れる)。

 美味しいだけではない。
 ウイスキーの方がビールより安くつくし(炭酸水を買ったとしても)、以下のような計算から肝臓や膵臓に対する負荷も低いという結論に達したのだ。

 私が家でもビールなら2000ml飲んでしまうことは白状したとおりだ。
 それを見て私の妻は、友だちの〇〇さんの旦那さんのことを例にあげてこう言ったものだ。
 「〇〇さんの旦那さんは、350mlの缶ビールを1本飲んで、『はぁ~、美味しかった』で終わるんだって」。
 この話を私は467万回は聞かされた。そのたびに私は「だから?」と心の中でつぶやいたものだ。

 で、ビールのアルコール度数は5.5%である。
 厳密に言えば重量パーセントと容量パーセントの違いがあるのだが、ざっと計算すると、ビール100ml当たりのアルコール量は5.5gということになる。
 それを2000ml飲むということは、5.5g×20=110g。私は110gものアルコールを摂取していることになる。ビールはアルコール度数が低いから大丈夫と思っていたのに、こんなことになっていたのだ。
 仮に1本減らして、泣く泣く500ml缶3本にしたとしても82.5gのアルコールを摂取することになってしまうのだ。

 これは、あの超音波内視鏡好きの医者が去年言った「1日80g以上だと危険だ」という話をクリアしない。しないどころか退場ものである。しかもあの医者、今年は「1日70g以上だと危険だ」と、ご親切にも私に対してハードルを下げやがった。

 そこで、私は考えた。
 よし、350缶2本にしよう。

 2本なら38.5gである。

 そしてウイスキー。
 私が愛飲しているブラックニッカclearのアルコール度数は37%。100ml当たりのアルコール含有量は37gである。

 これをハイボールにして飲む。となると、1杯当たりグラスに入れるウイスキーの量は25mlぐらいだ。となると、そのアルコール量は9.25g。
 これを3杯飲めば27.75g。
 先のビールの38.5gと合わせると66.25g。

 おお!格段の進歩ではないか!

 しかし、ハイボール3杯というのは大きな課題を残した。炭酸水が使いきれないのだ。もうちょっと飲まないともったいない、エコじゃない、二酸化炭素の放出問題になる。

 そこでさらに考えた。
 しかし幸運が!
 最近知った“金のオフ”。発泡酒だがなかなかいけるこのアルコール度数は4%。

 “金のオフ”350ml2本のアルコール含有量は28g。
 これにハイボール4杯で37g。
 合わせて65g。

 す、すばらしい!
 炭酸水を使い残すことなく、しかも“金のオフ”は糖質もプリン体もオフ。

 すっげ、体に優しそう!

 ということなわけ。
 如何? ←スパムメール風文字使い。

 そこでハチャトゥリアン(Aram Ilyich Khachaturian 1903-)の組曲「仮面舞踏会(Masquerade Suite)」(1941)。

 この曲は、かつて浅田真央がフィギュアの舞で使ったおかげでプチ・ブーム的に有名になった。このブログでもその当時取り上げている
 そのブームもどうやら覚めてしまったようで、ちょいとハチャトゥリアンがかわいそうではある。

 今日の記事の内容から、なぜ「仮面舞踏会」なのか?

 ブラック・ニッカと書いていて、スタンリー・ブラックという指揮者の名前を思い出したからに他ならない。
 ブラック指揮ロンドン交響楽団による「仮面舞踏会」は1977年録音。DECCA。
 前に交響曲第2番のときに紹介した2枚組CDに収められている。

 「仮面舞踏会」の演奏では古い録音だが、私はコンドラシン盤が決定盤だと思っている。しかし、このブラックさんの演奏、ロシア、ロシアした「もうちょっと、重苦しさを排除してくれると、気の弱い私にはありがたいんだけど」というものとはちょっと違う。
 ロシア人ではない演奏者の組み合わせによるこの演奏は、ハチャトゥリアンのもつ陰鬱さを適度に抑え、通勤時なんかに聴くにはちょうどいいものに仕上がっている。少なくとも「やっぱ、今日は会社行きたくなくなった」となるほどまでには気持ちが沈まないで済む。