なんだかすごい仰々しいメールが来た。
皆様、はじめまして。
私、特別情報取扱最高責任者の池上と申します。
おそらく、皆様にこのように直接メールをお送りするのは初めてでしょう。
かつては、私も現地情報収集部の部長という立場で、様々な現場の情報を取り扱っておりましたが、今週から弊社の特別情報が新しくなるという事で、長年現場の情報に携わっていた私が一番その経験を活かせる職務という事から白羽の矢が立ちまして、今週から特別情報の取扱・管理を担当する最高責任者という役職を任される事となり、大変責任を感じておる次第です。
今回のプラチナクラス役員認定情報の取り扱いも、この私が担当をさせて頂いております。
かつて、直接現場に携わっていた事から、今回のこの情報については、本当に相当な精度を誇っているものと自分自身でも驚いているほどです。
まさか、自分が特別情報取扱最高責任者という役職に就任した初めの週に、これほどの素晴らしい情報をご提供出来る事となり、情報担当者冥利につきるというものです。
そこで、確実に皆様に高額回収を果たして頂こうと一切の不備も許さぬよう、私も提供元の方に出向いておりました。
本日の15時まで皆様にご案内をさせて頂いておりました、今週の情報の件につきまして、先ほど提供元と会議を開いておりまして、提供の内容について話し合いを行っており、そこで、急遽新たな展開がございました。
この事例は、まだ現段階では提供元から正式に承諾がおりておりませんので、今はお伝えする事は出来かねますが、もう間もなく詳細の方がおりてくる事と思います。
今週から社をあげて、リニューアルを成し遂げた特別情報の第1弾、プラチナクラス役員認定情報。
もし、このプラチナクラス役員認定情報に、ご参加を少しでも考えてはいましたが、それでも何らかの諸事情でご参加に至らなかった方。
なぜ、私がここまで強くご案内をさせて頂いているのか。
それは、本当に今回の情報には自信と確信があるからでございます。
もう間もなく新たなご案内が出来ると思いますので、もう少々お待ち頂ければと思います。
クロカゲ
特別情報取扱最高責任者
池上
お客様ID 5****
競馬情報サイトクロカゲ
営業時間 平日11:00-19:00
(今週に限りメールのみ対応・24時間以内に返信)
競馬開催日19:00-21:00
なんだ、競馬かい……
しっかし、なにが“現地情報収集部部長”だの“情報担当者冥利につきる”なんだか……
滑稽だね。
笑っちゃうね。
ということで、リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss 1864-1949 ドイツ)の「ブルレスク(Burleske) ニ短調」(1885)。ピアノとオーケストラの協奏的作品である。
なぜ今日、ブルレスクなのか?
ブルレスク(ブルレスカ)というのは、“ふざけた”という意味だからだ。
このスパム・メールを読んで、「ふざけてんな、まったく!」と思わない人が、果たしているだろうか?まあ、いるんでしょうけど……
ブルレスクは、クラシック音楽においてはふざけた性格の楽曲に名づけられる。
R.シュトラウスの「ブルレスク」は、しかしながら聴いていてもけっしておちゃらけた感じの曲ではなく、なかなかシビアで堂々としたカッコいい音楽。
単一楽章の作品だが、大きさを感じさせる。
私はこの曲をアンネ・ローゼンシュミットの独奏、チェッカート指揮NHK交響楽団の演奏で知った。エアチェックしたものを何度も聴いたが、カセット時代が終焉した後は、ディスクを買うこともなく過ごしていた。
先日、最近“お気に”のapexレーベルのラインナップのなかにこの曲のCDを発見。久しぶりに聴いたみたが、なかなか良い曲なのになんでもっと聴かれないのかなと、素朴に疑問に思ってしまった。という私もずっと聴いていなかったわけだけど……
ぜひ聴いてみてください。知らない方は。
さて、apex盤の演奏はグリモーのピアノ独奏、ジンマン指揮ベルリン・ドイツ交響楽団。1995録音。
カップリングはブラームスのピアノ協奏曲第1番だが、続けて聴くとR.シュトラウスの「ブルレスク」がブラームスの影響を受けていることがわかる。