e3d2eadb.jpg  休暇2日目の昨日(10月26日・水曜日)。

 雨が降った形跡があったが、朝食後にさっそうと外に出て脚立に登り、プルーンの太い枝の伐採作業。
 「しょっちゅうプルーンの枝を切っているのではないか?いったい何本あるんだ?」と思われるかもしれないが、1本である。
 ただ私の場合、1つの作業を一度に完遂するという根性に欠けているため、何度かに分けて作業しているのだ。車の運転だって適度に休むことが推奨されている。ましてや剪定ばさみやのこぎりといった凶器を使った作業に無理は禁物と言えるだろう。

 前に、脚立ごと地面に叩きつけられた経験があるので作業は慎重に行なわれた。そして、昨日で作業は完璧に終わった。
 今回は何本かの太い枝をのこぎりで切る作業だったので、けっこうしんどかった。「トムとジェリー」で、スパイクがドルーピーを下敷きにしてやろうと木を切る光景を思い浮かべながら(「倒れるぞぉ~!」)作業に集中した。

efd2e6db.jpg  プルーンの木の下にあるブルーベリーもここにきてやっと食べごろに熟したので収穫(どアップで写真を撮ると不気味だ)。こういうことなので、今のところわかさ生活の通販にお世話になる必要もない。

 これらの作業は1時間ほどで終わったが、寒空の下での働きでかなり体力を消耗(なんせ日中の最高気温が11度!)。すっかり1日分老化したような気持ちになってしまった。

 こんな寒いのにまだ名も知らぬ虫がちょろちょろしている。
 「アリとキリギリス」の話だったら、もうアリは巣の中で落ち着いた暮らしをしているのだろう。実際、アリの姿はまったく見かけなくなった。また、アカトンボの死骸が物悲しく地面のあちこちに散らばっていた。

 「イソップ寓話集」の中でも1、2を争うほど有名な「アリとキリギリス」の話だが、岩波文庫ではキリギリスではなく甲虫ということになっている(原作に近いのはセミだともいう)。

 先日、岩波文庫の「完訳 クルイロフ寓話集」(内海周平訳)を読んだ。
 クルイロフ(1769-1844)は帝政ロシアの世をこの寓話で批判したが、203篇の寓話の中にはイソップやラ・フォンテーヌの寓話から題材を得ているものもある。

 このクルイロフの寓話をテキストにして曲を書いたのがショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakovich 1906-1975 ソヴィエト)。「クルイロフによる2つの寓話(2 Fables after Ivan Krylov)」Op.4(1922)がそれである。

c2a28a31.jpg  この曲については過去にほんの触り程度に書いているが、2曲から成り、第1曲は「こおろぎとあり」、第2曲は「ろばとナイチンゲール」である。
 「こおろぎとあり」は岩波文庫では「とんぼと蟻」になっており、“この寓話はイソップの「蝉と蟻たち」、ラ・フォンテーヌの「蝉と蟻」から題材を得ている”との注釈がある。もちろん、内容は「アリとキリギリス」と共通する教訓が書かれている。

 「ろばとナイチンゲール」は、文庫では「驢馬と鶯」。驢馬が歌が上手いと言われている鶯にどれほど上手いか聞かせてくれとお願いする。鶯は見事な歌を披露するが、それを聞いた驢馬に「確かに上手いけど、ウチの雄鶏から学んだらもっと上手くなるよ」と言われる話。こんな審判者はまっぴらだという風刺である。

 私が持っているCDは以前にも取り上げたものの1種類だけ。
 ボリサヴァのソプラノ(第1曲)、モスクワ・コンセルヴァトリー室内合唱団(第2曲)、ロジェストヴェンスキー指揮USSR文化省交響楽団の演奏。
 1979録音。メロディア。

 若きショスタコーヴィチがなぜこの寓話を用いようと思ったのか私は知らないが、ルビンシテイン(Anton Grigor'evich Rubinshtein 1829-94 ロシア。「5つの寓話」Op.64)などもクルイロフの寓話に基づく作品を残している。

 休みで家にいると、いろんなことがあるものだ。
 昨日の昼過ぎにピンポォ~ンと玄関のインターフォンが鳴った。
 「はい」と出ると、異様にハイ・テンションな語り部が!
 「こんにちはぁ!お忙しいところすみません!このたびこのあたりをご挨拶に回っている者でぇす」
 回っていると主張しているわりに、モニターに映っている画像では回転しながら話している様子はない。
 瞬間的にうさん臭いことがわかるので、わざと意地悪に問う。
 「で、何がでしょうか?」
 「いや、はい、新しい商品のご案内で。開けていただけますでしょうか?」
 「新しい商品って何?」
 「はい、当社の新しい建材でして」
 「建材に今のところ関心はありませんので」
 「あぁっ、そうですか……」

 と思ったら、今度は電話。
 「〇〇様のお宅でしょうか。このたび、会員様にセキュリティを守るための電話の暗証番号サービスのご案内です」
 電話会社だ。
 「うち、あんまり電話使いません」
 「とは、いいましても通販などで電話番号を先方に伝えることも多かろうと思いますが」
 「通販あんまり利用しないです」
 「一度詳しいご説明のパンフレットをお送りいたしたいと思いますが」
 「そちらのホームページに載ってるんですよね?」
 「はい」
 「じゃあ、そっちを見てみます」
 「そうですか。またお電話いたします」
 ガチャン。
 これはうさん臭いところからの電話ではなかったが、でもねぇ……
 まっ、いいや。今度電話が来る時は、私は家にいないときだろうから。