前にも書いたものの、あまりにも反響がなかったのでしつこい男のようにもう一度書くが、古今のヴァイオリン協奏曲の終楽章って、どうしてみんなああ揃いもそろって活発で幸福感に満ち溢れているんだろう。
その示し合わせたような共通点について、実は昔から不思議に思っていた。
他のジャンルの曲だったら、終楽章だって重々しいものがあったり、息をひそめたようなものがあるのに、多くの(有名どころの)ヴァイオリン協奏曲は、みな明るくて元気でウキウキしている。
ベートーヴェン、パガニーニ(第1番)、メンデルスゾーン、ブラームス、ブルッフ(第1番)、チャイコフスキー、ハチャトゥリアン……
ヴァイオリン協奏曲ではないがヴァイオリンの協奏作品としては、ラロの「スペイン交響曲」、ブルッフの「スコットランド幻想曲」もやはりそうだ。
ブルッフの第1番とブラームスのコンチェルトの終楽章はとても良く似てるし……
で、奥さまここでもう1曲!
上に挙げた曲ほどは聴かれることがないが、ドヴォルザーク(Antonin Dvorak 1841-1904 チェコ)のヴァイオリン協奏曲イ短調Op.53,B.96・108(1879-80/改訂'82)。
ドヴォルザークが書いた協奏曲と言えば、超有名なチェロ協奏曲ロ短調があるが、それ以外の協奏作品が聴かれることはあまりない。
魅力に乏しいから?
うん、それもあるかもしれないね!←誰のまねだよ!?
しかし、ヴァイオリン協奏曲の終楽章の軽やかなメロディーは実に捨てがたいものがある。
で、前にも同じような話の展開でナクソス盤を取り上げたので、今日はツェートマイヤーの独奏、インバル指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏を。
ちょっぴりこじんまりした感じがしなくもないが、この曲には合っている感じがする。
カップリングはシューマン(Robert Schumann 1810-56 ドイツ)のヴァイオリン協奏曲ニ短調(1853)。
この曲は1937年にベルリンのプロイセン図書館で手稿が発見されたもの。作品番号はついていない。
こちらの終楽章(第3楽章)も、活動的とまでは言えないがリズミカルで幸福感に満ちている。
なお、シューマンの妻クララはこの曲について、「決して演奏してはならない」と家族に言ったというが、それはこの協奏曲の第2楽章のメロディーが、シューマンがライン川に身を投じる直前に書き上げたピアノ曲「主題と変奏 変ホ長調-最後の楽想による幻覚の変奏曲(Thema mit Variationen - Geistervariationen uber letzten Gedenken)」(1854)の主題と似ているためだと言われている。
この変奏曲は、シューマンが最後の幻覚のなかで天使から与えられたとされる主題による変奏で、ブラームスの「シューマンの主題による変奏曲(Variationen uber ein Thema von Schumann)」Op.23(1861)はこの主題に基づく。
シューマンのヴァイオリン協奏曲の方の演奏は、ヴァイオリン独奏は同じくツェートマイヤー、エッシェンバッハ指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏である。
録音はドヴォルザークが1989、シューマンが1988。ほかにドヴォルザークの「ロマンス ヘ短調」Op.11,B.39(1873-77。弦楽四重奏曲第5番(1873)より編曲)が収められている。
apex(原盤テルデック)。
新館入口(2014.6.22~)
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