先週の土曜日。私的旅行2日目。
この日は鎌倉へ。
実は私が鎌倉を訪れるのは、今回が初めて。
東京に近くて、でも遠いのが鎌倉。
もっとも、私はけっこうあっちこっちに出張しているものの、当然のことながら用務のない地へは行かないし(鎌倉もその1つだ)、東京に住んでいたときだって観光に興味のない私には「鎌倉に行ってみっか」という発想は沸き起こらなかった。
品川駅で次男と合流し、鎌倉へ。
いやいや、着いてみると想像以上に観光客が多いのにびっくりした。まあ、観光に興味のないこの私が訪れているくらいだから、観光に興味のある人でごったがえしているのは当たり前か……
鶴岡八幡宮まで行き、七五三で着飾った多数の幸福そうな親子連れを目にしながら、私は「いまここにいる私の妻も昔は若かった。この息子も昔はかわいかった」と不幸な親子連れの構成員の1人であることを認識せずにはいられなかった。 “小町通り”を通って鎌倉駅へ戻る。
途中、妻が鎌倉の名を冠したお菓子をおみやげで買ったが、翌日羽田空港でも売っていることが判明するなんて、このときは夢にも思っていなかっただろう(よくありがちなことなんだけど)。
次に江ノ電に乗って、長谷に行く。これからの予定は、長谷で大仏を見て、そのあと再び江ノ電に乗って江ノ島に行き、鎌倉に戻るというものだ。
ガイドブックで調べていた妻が息子に言う。
「何回でも乗り降りできる“のりおくん”という切符があるから買って来て」
息子はお金をもらい窓口へ向かったが、あいにく閉まっている。しかし「1日乗車券のりおくんは自動販売機で発売しております」と張り紙が張ってある。
ということで、息子は自販機で切符を購入して来た。そして、切符をじっと見ながら言った。
「あのさあ母さん、もしかしたら違うんじゃない。“のりおくん”じゃなくて“のりおりくん”……」 まったく正しい指摘だった。
則夫くんでも紀雄くんでもノリオくんでもなかった。
券面には“のりおりくん”と書かれている。推察するにこの名は“乗り降り”から由来しているのだろう。
それにしても有人窓口が閉まっていて良かった。
「すいませんが、のりおくん、大人3枚」と言ったら、どんなことになったのだろうか?
親切な駅員さんは、「はい。のりおりくん、大人3枚ですね」と、さりげなく言い直すのだろうか?それとも笑いをこらえて涙目になるのだろうか?
まだ未成年の息子に、将来にわたって消え去ることのない心の傷を負わせなくてすんだのは、ただひとえに自動販売機の性能が向上したおかげだと言わざるを得ない。勘違いとはいえ、そして未遂とはいえ、妻の責任は重い。
♪
もしかしたら違う…… ペトレンコが振るショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakovich 1906-1975 ソヴィエト)の交響曲第8番ハ短調Op.65(1943)。
彼が指揮した第5番、第10番のCDについている帯のうたい文句のずれ加減で、もう読んでも真剣には信じていないが、この8番ではこうだ。
今までは、この曲は暴力的、破壊的に演奏されるものだと思ってました
しかし、もしかしたら違うのかも知れません
私は、決してそうは思っていなかったけど……
帯の折り返し面では細かい文字で、ショスタコがこの曲に対しての批判を避けるために発言した内容が作品を理解する妨げ(混乱)になっていることに触れ、最後は「ペトレンコの客観的な演奏を聴いていると、ショスタコーヴィチの投げかけた謎に一層翻弄されてしまうような気もします」と結んでいる。
えっ?
これって褒めてるの?
お姉さん、なんだか変な気持ちになってきました、ぼく……
ペトレンコの演奏は、10番同様すばらしい。
暴力的とか破壊的という言葉が適当なのかどうかはわからないが、オケを思う存分鳴らしている。その点では、他の演奏に比べおとなしいとか迫力に欠けるということはない。
ということで、帯に書かれている文言が何を言いたいのか翻弄される私。
この演奏を他の多くの演奏と差別化して表現するとしたら、知的な悲劇性を帯びているということだろうか。自分で書いていてよくわかってないけど……。私、あなたを一層翻弄しちゃったかしら?
ショスタコがこの交響曲について語っているいろいろな話をまったくまっさらにして、純粋な交響曲として聴こうと思った場合、ペテレンコの演奏は最適なんじゃないかと思う。純粋なものに接する気分にはなかなかなれないんだけど……
オーケストラはロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団。しっかし、このオーケストラは巧い。
2009録音。ナクソス(下の写真はCDケース外側のスリーヴ)。
さて、切符の正式名称もしっかりと把握できたことだし、まずは江ノ電に乗って長谷駅へ。
長谷寺へ行ったあと、鎌倉の大仏へ。
大仏は思ったより大きくなく、思った以上に頭がでかかった。
こういう頭がアンバランスにでかい人っているよな……
そして、このとき初めて知ったのだが、妻は江ノ電が好きなんだそうだ(もちろん乗るのは今回が初めて)。最初その言葉を耳にしたとき、私はてっきり「エノケンが好き」と言ってるんだと思ってしまった。
♪
話は変わるが、昨日の昼に入った都内はずれの中華料理店。
タンタン麺と小ライスを頼むと、カタコトの日本語で店のお嬢さんが「ソレなーい。タンピンだけっ!」と反抗してきた。
ほほう。
私はできるだけ明るく、「じゃあ、タンピーン!」と返事した。
でも定食類があるんだから、ご飯ぐらい用意できるだろうに……
値段設定してないから、出せないということなのだろうか?
プロフィール
MUUSAN
クラシック音楽、バラ、そして60歳代の平凡ながらもちょっぴり刺激的な日々について、「読後充実度 84ppm のお話」と「新・読後充実度 84ppm のお話」の2つのサイトで北海道江別市から発信している日記的ブログ。どの記事も内容の薄さと乏しさという点ではひそかな自信あり。
新館入口(2014.6.22~)
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© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
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コメントありがとうございます。大仏の中に入ってみようかどうかちょいと悩みましたが、けっこう混んでいたのでやめました。ダンナさん、けっこう感動したんですね。