9ae17c0a.jpg  土曜日の夜は宮部みゆき原作の「火車」のドラマがあった。
 が、観そびれてしまった。
 なぜなら、夜になるとすっかりそのことを忘れていたからだ。

 ま、しかたない。
 昼間、車で用事を足しに行ったときに踏切に引っかかり、貨車が通り過ぎるのを見たからそれで我慢することにしよう。

 あの貨車に積まれたコンテナたちはどこまで行くのだろう?
 九州なんかまで行くのもあるのだろうか?
 
 別に旅をしたいわけじゃないが、そんなことを考えてしまった(踏切待ちのときに今日のパジャマはどれにしようと考えるよりはまともだろう)。

 作曲家のなかで、旅先の印象を作品にしている人は少なくない。

 シャブリエはスペイン旅行を狂詩曲にし、コープランドはメキシコシティに行った印象を「エル・サロン・メヒコ」にした。R.シュトラウスはイタリア旅行を交響的幻想曲「イタリアより」にしたが、その第4楽章のなかで「フニクラ・フニクラ」を民謡だと思って使ったために、作曲者のデンツァに著作権料を支払わなければならなくなった。

 で、レスピーギ(Ottorino Respighi 1879-1936 イタリア)の場合。

 彼は1927年にブラジルに旅行している。その印象を音楽にしたものが「ブラジルの印象(Impressioni brasiliane)」(1927)。まんまのタイトルだけど……
 曲は3曲から成り、各曲は、

 1. 熱帯の夜 Notte Tropicale
 2. ブタンタン Butantan
 3. 歌と踊り Canzone e danza

である。

 レスピーギらしい曲ではあるが、どうもいま一つ魅力に乏しい。
 第2曲でグレゴリオ聖歌の「怒りの日」のメロディーが出てくるところが面白いかな、ってぐらい。

ee9f6509.jpg  この曲のCDで今日取り上げたいのは、ファレッタ指揮バッファロー・フィルによる演奏のもの。

 実はファレッタという指揮者、東京に住んでいるときにコンサートでじかに聴いたことがある(2006年6月17日、東京都響の「芸劇シリーズ 作曲家の肖像vol.60 ベルリオーズ)。
 いや、だからそれがどうしたと言っちゃあおしまいなんだけど、そのときにメインで振った幻想交響曲は悪くなかった。

 このレスピーギの作品を集めたCDには、ほかに「教会のステンド・グラス」(Impressioni sinfonico "Vetrate di chiesa".1925)と「ロッシニアーナ(Rossiniana)」(1925)も収録されている。

 「教会のステンド・グラス」は「ボッティチェルリの3枚の絵」に共通する、精緻で美しい曲。女性らしく、と言ったら失礼にあたるのかもしれないが、ファレッタはそのきめ細かな美を丁寧に紡ぎ出している。
 なお、「教会のステンド・グラス」は以下の4曲から成る。

 1. エジプトへの脱出 La fuga in Egitto
 2. 大天使ミカエル San Michele archangel
 3. 聖クララの朝の祈り Il mattutino di Santa Chiara
 4. 聖グレゴリウス・マグヌス Sanctus Gregorius Magnus

 このうち第1~3曲は1919年に書かれたピアノ曲「グレゴリオ旋法による3つの前奏曲(3 Preludi sopra melodie gregoriane)」を改作したものである。

 また、「ロッシニアーナ」はロッシーニの「老いのいたずら」(ロッシーニが晩年に書いた声楽や器楽の小品集)を編曲したもの。4曲から成るが、終曲の「タランテラ」が楽しい。

 レスピーギは「老いのいたずら」を用いてバレエ「風変わりな店」も書いているが、聴いていて楽しいのは規模も大きな「風変わりな店」の方だと思う。

 ということで、このCDでは「教会のステンド・グラス」の美を味わっていただくのがよろしいかと……

 自分の家を持つときに、どこかの窓1つをステンド・グラスにするといいなぁと思っていた。
 が、実際には室内が暗くなるだけだということに気づいた。
 結果、夢は失ったが、それなりの明るさは確保できた。