37d1a0e1.jpg ドコモの携帯の最近のCM(渡辺謙が出ているやつ)に、ブラームス(Johannes Brahms 1833-97 ドイツ)の交響曲第1番ハ短調Op.68(1855-62,'68,'74-76)の第4楽章第1主題が使われている。

 なぜ、ブラームスの1番なのか?深い理由があるのかどうかは知らないが、このCMの映像、シチュエーションに不思議とマッチしている。有名な曲で選曲に奇をてらっているわけではないが、CMのクリエイターのセンスの良さが感じられる。





e87b71c7.jpg  ブラームスのこの第4楽章第1主題は(掲載譜。この楽譜は音楽之友社刊のもの)、初演当時からベートーヴェンの第9交響曲のいわゆる「歓びの歌」に似ていると言われてきたが、以前にも書いたように「歓びの歌」というよりも、ドイツの学生歌「われらは立派な校舎を建てた」を基にしていると思われる。
 この学生歌は、同じくブラームスが「大学祝典序曲」でも用いているし、マーラーの交響曲第3番の冒頭、8本のホルンによるファンファーレもこの学生歌の引用(転用)である。

 ブラームスの交響曲第1番自体については以前に書いているので、作品についてはこれ以上触れずにCD紹介を。

 このところ私が気に入っているのは、キレのいいショルティ盤だが(話は飛ぶが、公共の場のトイレで小用を足しているときに、自分より後に来て自分より早く終わる若者なんかを見ると、「いいなあ、キレがあって」と羨ましく思う。ただし、いくら早く終わっても、それが小学生ならば「ちゃんと振ってしずくを払いのけたのだろうか?」と心配になる)、今日はヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団が1982年に録音した演奏を。

d592377d.jpg  ヴァントのブラームス/1番では、同じオケを振った1996年ライヴが比較的名演の声が高いようだが、この1982年の演奏はつまんない(RCA)。
 テンポが速めのせいもあるのかもしれないがスケール感に乏しく、ブラームスらしい響きがしない。アルマジロだってお気に召すまい。

 「そんなCD、紹介するな」と言われそうだが、まぁそこは個人差もありますので……。実際、褒めている人もおりますし……

 ただ、私はこのCDでぜひとも言いたいことがある。
 ブラームスの交響曲全集で2枚組なのだが、写真のように裏面表記で「交響曲第4番ホ短調Op.98」だけが、他よりも文字の大きさが一回り小さい。
 こういうミス、私にはすっごく気になる。
 廉価盤だからといってこういうところのチェックに手を抜かんでほしいわい。