4366fb1c.jpg  勤労感謝の前の日。

 その日の夜は“アンクル・バタフリャーを偲ぶ会”がススキノのある居酒屋で開催された。
 偲ぶといっても別にアンクル・バタフリャーが亡くなったわけではない。

 過去、二日酔いの朝にズボンに足を2本とも入れてしまってそのまま転び、部屋のテーブルに頭を強打したとか、ハイキングで崖から落ちた、というような事件を彼は起こしているが、とても元気に暮らしている(はずだ)。現在は函館で単身赴任中の身だが、少なくとも私の耳には、アパートの部屋の内部を全焼したとか、部屋から異臭がするというような話は聞いていないから元気に違いない。

 その居酒屋で私たちは湯豆腐を食べ、月見つくね(これ、意外と発音しずらい)をほおばり、ハイボールをたらふく飲み、その結果、それ以外に何を食べたのかすでにはっきり思い出せないが、間違いなく現実に起こったことを私はしっかりと覚えている。

 それは、帰り際に店の洗面所に立ち寄るとそこにはアルフレッドがいた、ということである。
 アルフレッドが何をしてたかというと、いくら洗面所だからといってそこで顔を洗っていたわけではなく、たぶんオシッコをしたのだろう。
 私が洗面所に入ったときには、彼はすでに外へ出ようとしていたので現場は押えていないが、すっきりした顔をしていたのでオシッコに違いない。

 「おやっ、今日は何の飲み会ですか?」と彼。
 いちいち、昔々アンクル・バタフリャーという人がいてね、なんて説明をするのは面倒だから「仲間内で」と答えたが、私には彼の足もとに落ちている紙片が気になってしょうがなかった。ペーパータオルの断片なのか、それともティッシュの断片なのか知らないが、黒い床に真っ白なちっちゃな紙片が1枚落ちていたのだ。

 たぶんアルフレッドは気づいていなかった。
 私は気づいたが、それを拾ってゴミ箱に移す勇気はない。だって、バッチイかもしれないから。

 そこで、バーンスタイン(Leonard Bernstein 1918-90 アメリカ)の「チチェスター詩篇(Chichester palms)」(1965)。合唱と児童合唱、オーケストラのための作品である。

 真摯な祈りの音楽だが、そこへ「ウェスト・サイド・ストーリー」が顔をのぞかせる。そんな、美しくも現代的な宗教音楽。

 3曲から成り、
 1. 詩篇第108番第2節-詩篇第100番
 2. 詩篇第23番-詩篇第2番第1~4節
 3. 詩篇第131番-詩篇第133番第1節
である。

 今日はオールソップ指揮ボーンマス交響楽団、同合唱団他による演奏を。
 オールソップは、9歳のときにバーンスタインが指揮するコンサートに行き、指揮者となることを夢見た。その後、バーンスタインに指導を受け、現在のような世界的指揮者の1人となった。夢はかなったのだ。努力の賜物なんだろうけど。

 この演奏は録音も良く、ボーイソプラノも実にきれいな声。
 先に書いたように、この曲の魅力はただ美しく敬虔な気分にあふれていることにとどまらず、メロディー・ラインにポピュラー性があることだ。

 2003録音。ナクソス。

 ところで、アルフレッド氏(ここで敬称復活。いや、単につけるのを忘れていた)は誰と飲んでいたのかというと、ムッカマール氏など職場ぐるみで居酒屋へ突入していたようだ。
 次回、私はアルフレッド氏とジンギスカンを食べに行く予定。みなさんには関係ないけど。

 で、昨日は勤労感謝の日だったわけだが、私の日ごろの勤労に対し、家族は特に感謝はしていなかったようだ。
 そして、今日の明け方まではひどい風と雷雨だった。
 そのままの天気だったら、絶対仕事に行く気持ちが消失しただろうが、うまくできたことに今は雨はあがり風もおさまった。
 ということで、当たり前のように通常出勤する。