月曜日。
私はピョン太リーダーと鉋さんと共に東京に出張したが、夜は食事をとりながら関係先の方と打ち合わせをした。
選んだ店は丸ビルの“グリル満天星”。
男だけで食事をするにはあまり適した場所とは言い難いが、東京勤務時代には私もよく使った店で安心感があるのでここにした。
それにここのメンチカツ(のデミソース)は美味しいし……
で、打ち合わせを終え、帰り際にトイレに寄ろうとしたら、トイレの近くの通路でスーツ姿の若者が通路におっちゃんこしている。いや、おっちゃんこというよりは半分寝そべったような格好だ。そして彼の前にもう少し年上と思われる男が2~3人立って、彼を見下ろしている。
はっきりと言っていることは聞こえなかったが、寝そべっている男を叱責しているような、あるいはいじめているような感じだ。一方、寝そべった男は、しかしながらえへらえへらして、でも涙目になって、「そうなことないですよぉ」みたいなことを言っている。
言われていることに抵抗しているのだ。
職場の同僚のようにも見えたが、なんとも不可思議な光景だった。
洋食屋でおいしい料理を食べ、しかも丸ビルというシチュエーションなのに、その光景は極めて異質だった。イメージとしては、それまで店内や館内に流れていたバロック音楽が、急に演歌か軍歌になったかのようなしらけた気分になってしまった。
気分直しにバロック音楽を。
J.S.バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)のヴァイオリン協奏曲。
彼が残したヴァイオリンのための協奏曲は3曲である。
1717年から'23年の間に書かれた第1番イ短調BWV.1041。この曲はチェンバロ協奏曲第7番BWV.1058に編曲されている。
第1番と同じ期間に書かれた第2番ホ長調BWV.1042。そして、これまた同じ期間に書かれた2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV.1043。この3曲である。
ほかにもヴァイオリン協奏曲があったようで、それらはチェンバロ協奏曲に編曲されているが、そもそもの原曲が不明であったり、さらにはバッハの真作かどうかも疑問である。
3曲のヴァイオリン協奏曲は、当時バッハが仕えたレオポルト公は17名から成るオーケストラを持っていたが、ここのヴァイオリンの首席奏者J.シュピースのためにこれらのコンチェルトが書かれたようだ。
このうち、第2番が最もポピュラーであるが、それは特に独奏楽器がメロディーを“歌う”からだろう。
バッハのヴァイオリン協奏曲では、前にコープマンのCDを取り上げたが、今日はあまり演奏者がよくわからないものを。
独奏はLautenbacherとVolholz。指揮はKehr。オーケストラはMainz室内管弦楽団。Allegroレーベル。録音は1987年ころだと思われる。
コープマンなどと違って、モダン・スタイルの爽快な演奏。
たまにはこういうのもいい。
このCD、今や絶対に入手できないかと思っていたら、驚き桃の木サンショの木って具合に、国内盤で出ていた。コロンビアから。
「よくわからない」なんて書いてすまんかった……
あのサラリーマン集団、何にもめていたのだろう。
女性っぽく抵抗していた、赤いネクタイの男はその後どうなったのだろう?
気になるな。
やれやれ……
新館入口(2014.6.22~)
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