6dee48db.jpg  このあいだ偶然にもススキノの居酒屋のトイレでアルフレッド氏とばったり会った私だが、あのあとアルフレッド氏たちはスナックへ行き、そして最後はジャンボ・チャーハンを食べたのだそうだ。

 ひどい目に遭ったと言っていた(自らの能動的行為だったはずだが)。
 というのも、ジャンボというだけあってご飯の一粒一粒が大豆並みに大きいという。
 信じた?そんなことあるわけないのであって、盛りがジャンボ、平たく言えば山盛りというもの。アルフレッドの証言によると3人前はあったという。こういう場合は話半分で聞いた方がいい。半分で聞いたとしても、1.5人前はあった計算になる(なら、ふつうか……)。

 その大盛りチャーハンを、行ったメンバーでシェアするのではなく、全員が全員、1皿ずつ頼んだのだそうだ。
 どら猫酔狂堂の社内の人間関係を象徴するようだ。自分のものは自分だけのもの。上司・同僚・部下など関係ない縄張り争い……。分かち合いの精神はないらしい。
 例えば個々に好きなラーメンを頼んで、それにジャンボ・チャーハンを2皿くらい頼んでシェアすりゃあいいのに、と私なら思う。いや、みんなチャーハン一筋の気分だったのかもしれないけど。
 でも、数日後にアルフレッド氏が「あれはきつくてきつくて……」と涙目に語っていたところからして、絶対に判断ミスだったに違いない。

 ところでその店、私は行ったことはないが、あるスナックの女性が面白いことを言っていた。
 「あそこの店でチャーハンを頼むとけっこう盛りがいいのに、出前を頼むと量が少ない」と。
 出前の手間賃分を減量しているのではない。あとあとわかったことだが、出前を頼むと出前持ちの海外製兄ちゃんが途中で盗み食いをしていたらしい。その海外製兄ちゃんはクビになったようだが、やれやれな話である。

 一方、その夜私たちは居酒屋を出た後、寶龍というラーメン屋に行った。
 寶龍は札幌ラーメンの老舗である。
 かつては市内のあちこちに店舗があったが、いまはススキノと札幌駅地下ぐらいじゃないだろうか?

 私が小~高校生のころ、当時西野の象徴的商業ビルだった“カスタムパルコ”の地下にも寶龍があって、美味しいからときどき食べに行った。そこであるとき、味噌ラーメンのモヤシが喉に引っかかって死ぬかと思った記憶がある。

 何年か前に札駅地下の寶龍に行ったときには(Kitaraでのウィーン・フィルを聴きに行く前だ)、なんだか味がパピっとしないなぁと思ったが、何カ月か前に再び食べたときには「おっ、案外と美味しいな。味が戻ったかな」と感じた。

 お酒を飲んだ後にラーメンを食べるなんて自殺行為に近いので、私は100年に1回くらいしかそういうことはしないのだが、今回はラーメンが食べたくなってススキノの寶龍に立ち寄ったのだった。
 瓶ビールにまずは餃子。仕上げにラーメン。かかりつけの医者がこれを見たら、世も末だと聴診器を放り投げてしまうような悪行だ。

 が、その仕上げのラーメンがまたまたパピっとしなかった。
 なんだかな~という感じ。
 もっともラーメンは人によって好みがけっこう違う。だからここのラーメンは不味いなんていう気はこれっぽちもない。しかも、老舗なのだ。営業し続けているということは、定評があると判断せざるを得ない。
 私がし慣れないことをしたせいで、味覚が弱っていたのだろう。そういうことにしておこう。
 おかげさまで体は温まったし……

028e6ca4.jpg  クレンペラー指揮ニューフィル・ハーモニア管弦楽団による、マーラー(Gustav Mahler 1860-1911 オーストリア)の交響曲第9番ニ長調(1909-10)。

 その第4楽章で、これほど温かに包まれるような演奏は他にはないのではないかしら?(←某評論家風)

 マーラーの第9交響曲にはすばらしい演奏のディスクが多く、そのためかかつては大名盤(こんな言葉ないけど)と言われたクレンペラー盤も最近では影が薄くなっている感があるが、クレンペラーがこの作品に深く共感しているかのような味わいがある。
 音が爆発することはあっても、決して狂乱には陥らない。
 テンポは遅めで、それが微妙に揺れ動く。
 クレンペラーの他のマーラーと同じように骨太の演奏だが、上に書いたように終楽章では聴き手を温かく抱擁してくれる。
 「大地の歌」と同じく、この曲はマーラーが改訂作業を行なう時間がなかったもの。したがって、オーケストレーションも完成されたものではないはずだ。しかし、この厚い響きは完全に仕上がった作品のように聴こえてくる。
 変人に抱擁されるのは気持ちのいいものではないけれど、この変人指揮者の演奏には抗しがたい独特の魅力がある。
 1967録音。EMI。

 さて、こんな食生活を送っていては体を壊してしまう。
 「外食が多くて栄養が偏りがち」、「体調が気になる」
 まったくそのとおり。私を観察した結果生まれたキャッチ・コピーのようだ。
 それに惹かれて買いました。DHCのクロレラを。

 でも私におかれましては、クロレラを飲むとおなかを壊してしまうことがわかった。