街では、店先や店の中、あるいは通路など、いたるところにクリスマスツリーが飾られ、クリスマスにちなんだ曲が流れ、誰もが近づいてくるその日を楽しみにしている感じだ。
ここで注意しなければならないのは、クリスマスにちなんだ曲といっても、決してオラトリオ「メサイア」なんかは流れていないということ。でも、どこかで「くるみ割り人形」が流れていたなぁ。
このようなワクワク感が充満して爆発しそうな場所から、電車に乗って家に帰り、リビングに入ると、「今日は2枚届いていたか」と、一転して、ややではあるが、しんみりした気分になる。
喪中はがきだ。
日本のこの季節は、クリスマス、さらには正月に向かうことで気持ちが高揚する一方、自宅に届いたはがきを見て、今年は誰それの親が亡くなったという報せにしんみりするというまったく逆の気分が、見事に混在する(郵便配達員が来ない家を除く)。
歳を重ねるにつれ、それに連動して届く喪中はがきの枚数は増えていく。
まだ、自分が知っている人“本人”が亡くなったという年齢ではないので、そのほとんどが親が亡くなったというものだ。私も2年前に父を亡くし、初めて喪中はがきというものを出した。
昨年のゴールデン・ウィークに、私は小学校時代を過ごした浦河町に旅行してみた。
この地を訪れるのは20年ぶりくらいになるが、そのときは仕事で来たため滞在時間は1時間ほど。ゆっくりと街の中を見ることはできなかった。
昨年のときは、車でゆっくりと、子どものころ歩いた道や遊んだ場所を辿ってみたが、あまりにも変貌してしまっていてよくわからなかった。
そして、当時のクラスメートで唯一いまだに年賀状をやり取りしているH君の家を訪ねてみた。H君の家は昔と同じ場所にあったのに、周囲があまりにも変わっていてそこだとわかるのにかなりの時間がかかった。
家に行くと、たまたま外にH君はいた。
「やぁ、お久しぶり」
「おぉ!」
という感じで、彼は家族で農作業中(農家なのだ)ということで、話もそこそこにおみやげのお菓子を置いて帰って来た。
今年の1月。
彼から年賀状が来なかった。
もしや、渡した菓子折が貧弱だったので怒ってしまったのだろうか?
そして、先月の末、喪中のはがきが届いた。
1月に奥さんが亡くなったという。
菓子折りのせいではない。年賀状を書くどころではなかったのだ。
まだ若いのに……
5月のときには畑に出ていたはずなのに……
私は直接お会いしたことはないままだったが、心からご冥福をお祈りしたい。
クルターグ(Gyorgy Kurtag 1926- ハンガリー)の「墓碑(または、石碑)(Stele)」Op.33(1994)。
「クラシック音楽作品名辞典 第3版」(三省堂)によると、クルターグはブタペストで学んだあと、パリでミヨーとメシアンに師事した。1960年代の前衛音楽を吸収し、特にヴェーベルンの音列技法の発展的一翼を担った。ハンガリー動乱後も祖国にとどまって活動を続けたが、作品数は極めて少ないという。
私は「墓碑」についての何の知識もないが、この作品はベルリン・フィルの委嘱作品だそうだ。
「エグモント序曲」のような音の開始だが、それはすぐに不気味に乱れ変貌する。いわゆる前衛音楽ではあるが、ここには人間的な感情が感じられる。
1度聴くと、けっこう印象に残る作品だ。
CDはギーレン指揮南西ドイツ放送(SWR)交響楽団によるものを。マーラーの第2交響曲にカップリングされている。
1996録音。ヘンスラー・クラシック。
新館入口(2014.6.22~)
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