700a355b.jpg  ブルックナー(Anton Bruckner 1824-96 オーストリア)の交響曲第1番ハ短調WAB.101。

 第1番といっても彼の交響曲としては第2作目、番号なしの交響曲ヘ短調の次に書かれたものである(交響曲第0番は第1番のあとに書かれている)。

 1866年に完成したが、この第1稿はブルックナーがその頃活動していたリンツにちなんで“リンツ稿”と呼ばれる。

 自作の改訂を繰り返すことが常だったブルックナーだが、この第1番についても1877年と'84年に改訂を加えている。なお、ここで注意すべき点は、ハースやノヴァークによって校訂され“リンツ稿”と呼ばれている版は、1877年の作曲者による改訂が反映されている。

 さらに作曲から24年も経った1890~91年に、ブルックナーはこの交響曲を全面改訂している。すごい意欲だ、というか、執念だ、というかねちっこいというか……
 この全面改訂稿は“第2稿”とか“ウィーン稿”(この改訂稿はウィーン大学に捧げられている)と呼ばれているが、現在では“リンツ稿”が演奏されることの方が多い。ブルックナーの努力むなし、ってところか。

 ブルックナーは交響曲第1番のことを“生意気な悪童”と呼び、野心的な作品であることを示した。
 “生意気な悪童”っぽいかどうかはともかく(生意気じゃない悪童っているのだろうか?)、粗野で田舎臭さのある作品だが、スウィトナー指揮シュターツカペレ・ベルリンの演奏は、実に音楽性豊かに仕上がっている。
 この曲のやぼったさが適度に洗練され、メロディアスに進んでいくのだ。
 この演奏はいい!
 1987録音。ドイツ・シャルプラッテン。