週末に“スーパーおおぞら”に乗って石勝線を通った。
天気が良く、そして列車はとても空いていて、とてもリラックスできる移動となった。
列車でも飛行機でも、私は通路側の席ばかりを利用する。
いざ(たとえば抑えきれない尿意など)というときに気兼ねなく出入りができるからだ。
今回も通路側の指定席をとったのだが、隣に客がいなかったため(そして前にも後ろにも)窓側にお尻をスライドさせて移動し、眺めを楽しんだ(もちろん外の。天井とか眺めてどうする?)。
ただし、新札幌、南千歳までは隣に来るかもしれないとそれなりに遠慮して礼儀正しく自分の席に座り、そして南千歳を出るとあとはトマムまで停車しないので窓側にずれたはよいが、すっかりリラックスしてしまいちょっとばかりうとうとしてしまった。
新夕張駅よりも少し手前の“滝の上”から“十三里(とみさと)”のあたりでは、列車が速度を落とすと線路わきにたくさんのフクジュソウが咲いているのが見えた。
きれいだ。
いいねぇ、こういう眺め。
簡単に人が入ってこられるような場所だったらすぐに掘って持ち帰られるんじゃないかと思う。
が、やがて国道と線路が一瞬並行するところでも、道端にタンポポのごとくフクジュソウが咲いていた。
国道わきにフクジュソウなんて、なんだか不思議な感じがした。
こういう車窓からの草木の姿、あるいは山々の姿を、私は今回、ステンハンマル(Wilhelm Srenhammar 1871-1927 スウェーデン)の交響曲第1番ヘ長調(1902-03)を聴きながら眺めていた。
う~ん、詩的で素敵ぃ~(私が)。
聴くにあたっては、ディーゼルカーのエンジン音がかなり厄介だったけど。
こういうときはノイズキャンセラー機能付きのヘッドフォンにすりゃあ良いのだろうが、緊急事態が起きたとき(トンネル内火災とか脱線とかが続いた路線なのだ)にアナウンスが聞こえないと困るし……と意外と備え万全な私である。
ステンハンマルは20世紀初頭のスウェーデン音楽の中心的人物となった人。ベルリンでピアノを学び、また指揮者としても活躍した。ピアニストとしては1892年にデビュー、指揮者としては1897年から活動を開始している。
北欧の作曲家としては、ノルウェーにグリーグ(1843-1907)が、フィンランドにシベリウス(1865-1957)がいる。デンマークにはニールセン(1865-1931)がいた。
しかし、ステンハンマルの作品はあまり、いや、相当知られていない。
ステンハンマルはスウェーデンの民謡を用いたワグネリズム(ワーグナー主義)の劇音楽や合唱作品で成功を収めた。ワグネリズムであり、そしてベートーヴェンやブラームスといったドイツ音楽に強い影響を受けたため、のちに国民楽派としての作品を書くことを目指したものの、そして彼の作品は間違いなく北欧を思わせるものの、そこには後期ロマン派の余韻が強く残っている。
そのあたりがシベリウスやニールセンと同じように位置づけられないところだ。
交響曲第1番は、ホルンの雄大な景色を目にするかのような響きで始まる。それに続く、ひどく懐かしい感じのするメロディーが心にしみる。
第2楽章は古謡を思わせるしっとりとした美しい音楽。レスピーギが「リュートのための古代アリアと舞曲」第3組曲のシチリアーナで用いたメロディーを思い出ださせる。
第3楽章はベートーヴェンの「田園交響曲」の第3楽章「農民たちの楽しい集い」のような性格。
第4楽章のたっぷりと堂々と歌われるメロディーも非常に魅力的だ。
全体を通して温かみがあり、第1楽章のみならず説明のつかない懐かさがある。おじいちゃんの匂いがするような……
アタックしてくる、あるいは打ちのめされるような衝撃的興奮はないが、それでも聴いていてじわりじわりと気分が高揚してくる。
とはいえ全曲で50分以上の大曲。長ったらしく感じないと言えばウソになるが……
N.ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団のCDを。
1982年ライヴ。ブリリアント・クラシックス。
プロフィール
MUUSAN
クラシック音楽、バラ、そして60歳代の平凡ながらもちょっぴり刺激的な日々について、「読後充実度 84ppm のお話」と「新・読後充実度 84ppm のお話」の2つのサイトで北海道江別市から発信している日記的ブログ。どの記事も内容の薄さと乏しさという点ではひそかな自信あり。
新館入口(2014.6.22~)
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