a707cf57.jpg 日食である。
 旅のレストラン“日本食堂”のことではない。
 金環皆既日食のことである。
 
 金環日食が観られる日が近づいてきて、よくわけがわからんが、しばしばニュースでも「肉眼で直接太陽を観ないようにしてください」なんて注意を促している。

 アホかっ!
 どうしてそんなことをニュースなんかで繰り返し言ってんだろう?

 太陽を直接見てはいけないなんてこと、あらためて言うことか?
 日食だからそのことをわからない人も多いだろうってことだろうけど、じゃあ薄曇りのときはどうするんだい?「今日は薄曇りで、太陽の形がはっきりわかる時刻もあるでしょう。でも、くれぐれも直接肉眼では見ないでください」なんて天気予報で言うだろうか?
 ねっ、バカバカしいでしょ。言うわけないじゃん。

 そんなの自分たちに判断させなさい。
 判断できない(よく知らない)子どもには学校で教えてあげなさい。
 おせっかいにTVで言うようなことじゃないんじゃない?
 なんというか、のんきというか変な風潮のある国だ。メディアがおかしいだけか?
 どっちにしろ、私が居るところは当日がどんなに晴天でも、金環食は観られないエリアなんだけど。

 そんな虫の居所が悪い偏屈じじいのようなことを考えながら、今日はジョリヴェ(Andre Jolivet 1905-74 フランス)の「赤道地方協奏曲(Concerto equatorials)」(1949-50)。1951年6月のストラスブールでの初演の半年後に行なわれたパリ初演のときには、ストラヴィンスキーの「春の祭典」以来の大騒ぎになったという曲である。

 ジョリヴェはヴァレーズに学び、1936年にはメシアン、ルシュール、Y.ボードリエと「若きフランス」というグループを結成、現代音楽に人間性と民族性を回復する方向をめざした。

 「赤道地方協奏曲」は、フランス国立放送からの依頼で植民地を取材した作品として作曲されたピアノ協奏曲。第1楽章にアフリカ、第2楽章に極東、第3楽章にポリネシアという赤道直下の地域の民族音楽が用いられており、「赤道地方協奏曲」の名で発表されたが、植民地解放運動と結びつけて考えられたので、のちにこの名を削除。単に「ピアノ協奏曲」とした。
 パリでの騒ぎはこういった反対派が起こしたとも言われている。

 暴力的、原始的という言葉がぴったりの音楽。
 しかしただそれだけではない。
 意欲的なフランス料理のシェフが、エスニック料理のメニューを新たに創作するとこうなるんじゃないかと思うような、斬新な味わいがある(どんな味わいなんだろうと、ちょいとばかし不安か?)。
 聴いたことがない人は、勇気をふるって挑戦してみるべし!私が薦めるのだから、たまに間違いはない、なんて言う気はないけど。

 CDはこの曲の名盤と言われているアントルモンのピアノ、ジョリヴェ自身の指揮、パリ音楽院管弦楽団の演奏を。
 1965録音。ソニークラシカル。