510d4f19.jpg  どうでもいいことだが、“おやじ”と“おじや”はそっくりである。

 いや、外見のことでも中身のことでもなくて、字面がである。
 そっくりどころか使われている文字はまったく一緒なのだ。これは驚くべきことである。
 また、おじやはおやじが食べているシチュエーションに合っている。

 私が育った家では、特におやじ(つまり父)が鍋料理のあと残った汁にご飯を入れて煮込んで食べていたが、それを雑炊とは呼ばず“おじや”と言っていた。
 私は“おじや”という言葉の響きがどうも好きではなかった。だって、なんとなく貧乏たらしいんだもん。
 でも、その語源は意外とハイカラで、Wikipediaによると、スペイン語で「鍋」、またそれから転じて「鍋料理」を意味するオジャ(olla)に由来するんだそうだ(どう眺めてもオラではあるが。スペイン語だとオジャなんだな)。

 この暑い時期になんで急におじやのことを思い出したのか?
 実は2週間ほど前に郵便受けに入っていたのだ。
 おじやじゃなくて、チラシが。

 そのチラシには何の落ち度もない。完璧だ。
 ただ、最初に見たときは、はっとした。
 「おやじとデザート付き?」……私が読み違えただけ。以上。
 でも、おじやは食べ放題じゃないんだな……。おにぎりよりコスト高なんだな。

 ところで暑くなってきて食欲不振とか寝ている間におなかを冷やして壊したりしている人はいないだろうか?
 私は大丈夫だ、今のところ。

 こう書いてしまうと「左様ですか」で終わってしまうから、もう少し話を発展させる。

 大阪に勤務していた時には、けっこう夏バテに苦しんだ。
 それを心配した妻が高麗人参を飲むよう勧めてくれたが、そのサプリを飲むとかえって汗が噴き出してきて余計辛くなった。どうやら私の体質には合わなかったらしいが、こういうのって気をつけた方がいい。特に漢方系は。

 それから、これはストレスもあったと思うのだが、とにかくおなかを壊していた。
 そんなとき、亜鉛が下痢にも効果があるという記述を目にした。

 ご存知の方も多いと思うが、亜鉛が不足すると味覚障害を起こす。また、セックス・ミネラルと呼ばれるように、性腺機能には必須のミネラルでもある。近年、若者の間で味覚障害が増えていると言われるが、それは男性の女性化にも関係があるのかもしれない。つまり亜鉛不足である。

 私個人としては性腺機能はどうでもいいが(世の男性には気になっている人が多いとは思うけど)、少なくとも元気を維持できそうではあるし、何より下痢や関節炎、頭部外傷、胎児の成長に亜鉛サプリの効果があるという報告があるそうだ。
 性腺機能のみならず、関節炎や頭部外傷、ましてや胎児の成長も私には関係ないが、下痢に効果ありというのは気にかかる。

 ということで亜鉛サプリを飲んでいるが、確かに慢性的な下痢はなくなった。
 もちろんさまざまな要因があるので亜鉛摂取=下痢の解消とは言い切れないが、害があるものではないので下痢に苦しんでいる人は試してみるといいかもしれない。 
 ほかにも、亜鉛には免疫力を高め風邪を早く治す効果があるそうだ(参考:蒲原聖可「サプリメント小事典」(平凡社新書))

 そうそう、このあいだ“金蛇精”っていう薬の広告を新聞で見た。
 そこには“陰萎”って言葉が書かれてあった。
 陰萎……初めて見る言葉だ。漢字から何となく意味は分かるけど、なんだかすごい言葉だ。萎えちゃうんだもの……

 金色ヘビの精……

5265acb5.jpg  さて、グルック(Christoph Willibald Gluck 1714-1787 ドイツ)の「精霊の踊り(Ballet des champs-elysees)」。

 この曲は彼の代表作である歌劇「オルフェオとエウリディーチェ(Orfeo ed Euridice)」(1762初演、ウィーン。3幕。台本=カルツァビージ)の第2幕第2場の、精霊たちが天国の野原で踊る場面の曲。
 フルートが奏でるメロディが非常に美しいため、この曲だけが単独で取り上げられることが多い。また、クライスラーがヴァイオリン用に編曲したものも知られている。

 グルックはドイツに生まれ、オーストリアとフランスで活躍した。バレエ音楽や器楽曲も書いたがオペラの改革者として名を残している。
 いまでは頻繁に名前を目にする(耳にする)作曲家ではないが、かのH.C.ショーンバーグが「大作曲家の生涯」(共同通信社)のなかで、「オペラの改革者」というタイトルで独立した一章を割いているほどである。
 
 その章は次のような文章で閉じられている。

 彼は音楽劇としてのオペラの針路をさだめ、オペラは歌、歌詞、演技、舞踊、舞台を、それぞれほぼ同様の割合で結合した総合芸術であると規定した。こうした役割を果たしたグルックは、まさしくリヒャルト・ワーグナーの精神的な先祖なのである。

 ここでは「精霊の踊り」について、ミュンヒンガーとシュトゥットガルト室内管弦楽団の組み合わせによるオムニバス盤で紹介しておく。
 フルートはドーン。いや、“笑ゥせぇるすまん”じゃなく、フルート・ソロを務めているのがドーンという人。
 1984録音。ロンドン(デッカ)。