f8ba03a5.jpg  昨日のブログで予告した通り、昨日は午前8時にムッカマール氏&アルフレッド氏、2人合わせてムッカレッドという弱そうな機動戦士、もしくはまったく効かない殺虫剤みたいな名前ではあるが、とにかく、このお二方と合流し帯広の地へと向かった。

 その途中、あと30分もすると家に到着するというところで、私の携帯に見慣れぬ番号の着信があった。
 先祖代々の教えで、こういうときは名乗らない上にけっこう不愛想に出ることにしているが、それはこちらで住まわせていただいているマンションの会社からだった。

 「〇〇〇号室のMUUSANの携帯でしょうか?」
 「いえ、これは会社の携帯で、法人契約ですのでMUUSANの携帯とは言えません」
 なんて答えることはもちろんせず、ここは素直に「はい、そうです」
 「いま、ご在宅じゃないですよね?」
 「はい、家に帰る途中です。ちょうどトイレから出たところです」
 「実は昨晩の地震で、電気温水器の配管が損傷したらしく水漏れが起こっています。下の階の方から連絡があったのですがMUUSANがお留守でしたので、昨夜のうちに水道の元を閉めさせていただきました。お帰りになる時間を見計らって修理に伺います。もしかすると床がかなりびしゃびしゃかもしれませんが……」

 このとき私は、なぜか金曜日にTVでやっていた「崖の上のポニョ」の一場面を思い出してしまった(といってもTVは10分ぐらいしか観てなかったけど)。

 ムッカレッドといったん別れ、私はマンションへと入る。
 温水器のある洗面所付近の床一面がびしょびしょ。そう覚悟して部屋に踏み込んだ私だったが、あらあら、リノリウムの床にほんのちょっと水があるだけで、まるで砂漠の水たまりのよう。
 いや、砂漠に行ったことはないです。それどころか鳥取砂丘にも行ったことはありません。つまり、その、ほとんど水がないというイメージでありまして……

 グローフェ(Ferde Grofe 1892-1972 アメリカ)の「デス・ヴァレー組曲(Death Valley suite)」。4曲から成るこの組曲の第3曲が「砂漠の水たまり(Desert Water Hole)」ってわけ。
 ちなみに、第1曲「死の山々」、第2曲「49年の移民の隊列」、第4曲は「砂嵐」である。

 グローフェの代表作はご存知の方も多いと思うが組曲「グランド・キャニオン」。しかし、ほかにもアメリカの名所を題材にした「ミシシッピ組曲」(かつて日テレの“アメリカ横断ウルトラクイズ”で使われていた)、「ハリウッド組曲」「ハドソン川組曲」「ナイヤガラの滝組曲」「サンフランシスコ組曲」なんかを残してる。

 ちなみにグローフェはポール・ホワイトマン・バンドでピアニスト兼アレンジャーとして活躍していた人で、ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」をアレンジしたことで名声を博した。

 「デス・ヴァレー組曲」の「砂漠の水たまり」は、砂漠の中で水たまりを見つけたときのこの上ない喜びを描いたもの。したがって水たまりといっても雨降りのときにできるような水深2cmくらいのしょぼいものとは、またティッシュで拭きとれたような我が家の床の状態とはまったく違う。紛らわしい展開、申し訳ない。
 とにかくその喜びようはすさまじく、もはや民謡のごとくアメリカ人にしみこんでいるフォスターの「おお、スザンナ」や「故郷の人びと(スワニー川)」が鳴り渡るのである。

 CDはW.T.ストロンバーグ指揮ボーンマス交響楽団によるナクソス盤を。
 2000年録音。カップリングは「ハリウッド組曲」と「ハドソン川組曲」。

 私の帰宅時間を見計らって配管修理の方がお見えになった。
 約30分で修理は終了。温水器上部の配管継ぎ手が損傷していた。
 わが部屋と隣の部屋がやられたらしい。
 下の部屋にお住まいの方の謝りに行ったほうがいいのではと思ったが、マンションの管理会社の人に聞くと「いえ、そこまでしなくても大丈夫です」というのでノーアクションとした。ほんとにいいんだろうか?まあ、たいして水はしみてなかったというから、お言葉に甘えよう。

 なお他の被害は、本棚から本が2冊床に落ちていた。スピーカーの位置がずれていた。棚に置いてあった温度計が倒れていた。なぜか電池を交換したばかりなのに動かなくなっていた100均で購入した置時計の動きが復活していた。以上。

 夕方になってムッカレッドたちと合流。
 その報告はまたあらためて。