c3521954.jpg  クリスマスの朝、雪の校庭に急降下した十四歳。
 その死は校舎に眠っていた悪意を揺り醒ました。
 目撃者を名乗る匿名の告発状が、やがて主役に躍り出る。
 新たな殺人計画、マスコミの過剰報道。
 そして犠牲者が一人、また一人。
 気づけば中学校は死を賭けたゲームの盤上にあった。
 死体は何を仕掛けたのか。真意を知っているのは誰!?


 宮部みゆきの「ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件」(新潮社)を買った。

 “小説新潮”に連載された作品で、今回発刊された第Ⅰ部は700ページ超。

 かばんに入れて持ち歩くには厚くて重いし、手に持って読むには私の手根骨(つまり手首の骨ってことを言いたいわけ)に負担が大きすぎる。
 お値段も決してお買い得とは言えない。

 けど買ってしまった。
 なぜか?
 早く読んでみたい。そういう奥の深くない単純な欲求。
 ただ、いじめによる自殺の報道が繰り返される中、言葉は適切ではないが“タイムリー”な題材であるように思え、いま読まなきゃって気持ちになったのは事実。

 これから読むのでどういう内容か知らないし、いじめ問題とは関係ないのかもしれないが、上の“キャッチ・コピー”を読む限りでは、宮部みゆきお得意の、「模倣犯」などの展開と同じような社会現象(マスコミのバカ騒ぎ、騒ぎの中で目立とうとする者の登場など)が巻き起こるなかで話が進んでいくのだろうと思っている。

 持ち歩くには私の体力と相談しつつということになるが、読みたい気持ちがはやる今である。

fd635b8c.jpg  とりあえずはヘンデル(Georg Friedrich Handel 1685-1759 ドイツ→イギリス)のオラトリオ「ソロモン(Solomon)」HWV.67(1749初演)から「シバの女王の入城(Arrival of the Queen  Sheba)」。
 このオラトリオの詞はモレルによるとされているが、はっきりとはわかっていない。

 オラトリオ全体が聴かれることはほとんどないが、第42曲目にあるシンフォニアの「シバの女王の入城」は単独で演奏される機会がある。

 ソロモンという名前は聞いたことがあると思うが(早く漏らしてしまう男のことを“そぅろーもん”と呼ぶことがある、なんて実に下品なことをここに書く気は毛頭ない。あっ、書いちゃった)、旧約聖書の列王紀に出てくる古代イスラエル第3代の王である。

 また、シバの女王というのは、ソロモンの知恵の噂を耳にして自らの悩みを解決してもらおうと王のもとにやって来て、大量の金や宝石などを贈ったとされる人物。
 列王紀・上の第10章には、

 シバの女王は主の名にかかわるソロモンの名声を聞いたので、難問をもってソロモンを試みようとたずねてきた。可の譲は多くの従者を連れ、香料と、たくさんの金と宝石をらくだに負わせてエルサレムにきた。彼女はソロモンのもとにきて、その心にあることをことごとく告げたが、ソロモンはそのすべての問に答えた。王が知らないで彼女に説明のできないこと一つもなかった。

と書かれている。

 ヘンデルのこの音楽は、とても華々しい祝祭気分あふれるもの。
 金や宝石を背負わされたらくだはたまったもんじゃなかったろうけど……

 ここではバンファルヴィ指揮ブタペスト・ストリングス他の演奏によるナクソス盤(アルバム名「バロック・マスターピース」)を紹介しておく。録音年は1990年前後。この曲についてはレコーディング・データの表記がない。

 いずれにしろ、これから私は読書の秋らしいことをするわけだ。