466bd6c5.jpg  このあいだ、3楽章までで未完に終わったブルックナー(Anton Bruckner 1824-96 オーストリア)の交響曲第9番のことを書いた。

 第4楽章として「テ・デウム(Te Deum)」ハ長調WAB.45(1881-84/改訂1883-'85)を代わりに演奏しても良いと、ブルックナー自身が言ったらしいということも書いた。

 以上の2点、よろしいか?

 ならば、今日はその「テ・デウム」。

 “テ・デウム”というのは“われら汝を主と賛美し奉る”という意味。
 ローマ・カトリック教会の聖務日課の朝課の最後に歌われる。その歌詞の最初、“Te deum laudamus te dominum confitemur”から、この名がある。

 これまで演奏会用作品として「テ・デウム」を書いた作曲家は少なからずいるが、このブルックナーの曲はそのなかでも最高に位置するほどの傑作。ブルックナーの神への深い信仰がそのまま音楽に結晶化したかのようだ。

 そして、チェリビダッケが指揮した演奏が、これまたすごい。
 名演と簡単に言ってはいけないほど、感動的な、心を揺さぶる演奏だ。

 相変わらずテンポは遅いがまったく弛緩しない。むしろじっくりとこの神の音楽に浸り味わうことができる。
 ライヴだが録音もとても良い。

 オーケストラはミュンヘン・フィル。ソリストはプライス(S)、ボルヒャーズ(A)、アーンシェ(T)、ヘルム(Bs)。
 1982録音。