a9b2dfed.jpg  あけましておめでとうございます。
 まさかあなた、いい歳して年賀状に“あけおめ”なんて書かなかったでしょうね?

 年賀状代わりに私も皆様に向けて書かせていただきます。

 1. 謹賀新年
 2. 賀春
 3. 迎春
 4. 恭賀新年
 5. 賀正
 6. 敬頌新禧
 7. 年賀
 8. 慶春
 9. 初春
 10. 頌春
 11. 敬寿瑞春
 12. 謹賀新春
 13. 喜春
 14. 寿春
 15. 招福
 16. 賀ぴょ~ん

 以上、あなたの心に訴えかけるお好みの言葉を選んでください。
 私にもよく意味のわからない言葉があるのですが、いずれにせよ、“筆王”のサンプル文字から拾ったまでですから(注:16を除く)。

 中学生のとき、ちょいと自分の好成績を鼻にかけている奴から年賀状が来て、彼らしく“あけましておめでとう”とかいうフレーズではなく、ジジ臭く“新春”と書いてあった。
 が、何か違和感がある。

 はははっ!書き間違いで、“新香”となっていた。正月から奈良漬けかい?

 大晦日の昨日は、20:00からEテレで「第九」が放送された。毎年恒例のこの放送、このたびの指揮者はノリントンだった。多くのクラシック音楽ファンがこれをずっと心待ちにし、昨晩もクリキントンを食べながら食い入るように観てたに違いない。当然私は、「絶対笑ってはいけない」を観たが……
 そんなことをしているうちに、2013年がスタートした。

 私の今年の抱負は……ない。
 ささやかだけど、ロト6で2億円が当たればそれで満足だ。そんなごく小さな望みがあるだけだ。このように今年も控え目に生きていきたいと思っている。

 できれば禁煙したい、できれば酒量を減らしたいということもあるが、いろいろな障害や悪魔のささやきがあるだろうから、あくまで“できれば”という受動的な姿勢で臨みたいと思っている。

 今朝テレビをつけると、去年のかおととしのかわからないくらい変わり映えのしない新春特番をやっていて、「春の海」の尺八と筝のメロディーがしょっちゅう流れている。ふだんのこの時間なら、ニュースをやっているか、もうちょい早い時間なら通販番組しかやっていないのに、テレビ局も妙なところで気合が入っている。
 CMも正月バージョンでやっぱり「春の海」だ。
 
 となれば、私も対抗すべく元日は笛の曲を聴こう。ビョンビョンした音は筝ではなくチェンバロ、笛はフラウト・トラヴェルソ(フルートの前身となる横笛)で。

 ちなみに「春の海」は、宮城道雄(Miyagi, Michio 1894-1956 兵庫)が1929年の年末に作曲した、筝と尺八(またはヴァイオリン)のための曲である。

 C.P.E.バッハ(Carl philipp Emanuel Bach 1714-88 ドイツ)のフルート・ソナタ集を聴こう。
 クイケンのフルート・トラヴェルソ、アスペレンのチェンバロによる演奏。
 1993録音。ソニークラシカル(原盤VIVARTE)。

 ここに収められているC.P.E.バッハの作品は、

 ・ チェンバロ・オブリガートとフルートのためのソナタ ト長調Wq.86,H.509(1755。Wq.153のトリオと同一楽想)
 ・ チェンバロ・オブリガートとフルートのためのソナタ ハ長調Wq.87,H.515(1766)
 ・ 2つのトリオWq.161(1751刊)から、第2曲変ロ長調Wq.161-2
 ・ チェンバロ・オブリガートとフルートのためのソナタ ニ長調Wq.83,H.505(1749。Wq.151のトリオと同一楽想)
 ・ バス・フルート,ヴィオラと通奏低音のためのトリオ ヘ長調Wq.163、H.543(1755。Wq.159のトリオと同一楽想)。
 ・ 4つのトリオ・ソナタWq.148~151から第2曲ハ長調Wq.149,H.504(1745-47。Wq.73と同一楽想)
 ・ チェンバロ・オブリガートとフルートのためのソナタ ト長調Wq.85,H.508(1754。Wq.157のトリオと同一楽想)
 ・ チェンバロ・オブリガートとフルートのためのソナタ ホ長調Wq.84,H.506(1749。Wq.162のトリオと同一楽想)

である。しかし、「C.P.E.バッハの作品は」と書いたのにはワケがある。

 これらが2枚のCDに収録されているのだが、1枚目の最初は彼の父親であるJ.S.バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)のフルート・ソナタ 変ホ長調BWV.1031で始まるのである。
0215748e.jpg  このBWV.1031のソナタの第2楽章「シチリアーナ」は特に有名であるが、この楽章は実はC.P.E.バッハの作ではないかと考えられている。

 また2枚目のCDでは、同じくJ.S.バッハのヴァイオリンもしくはフルートのためのソナタ ト短調BWV.1020から始まるが、この作品もバッハの作かどうか疑問視されており、C.P.E.バッハの作であるという見方が有力となっている。
 このアルバムでは、完全にC.P.E.バッハの作として位置付け、収録されているということだ。

 つまり上記のC.P.E.バッハの楽曲8曲に加え、疑作とされるJ.S.バッハの曲も2曲入っているわけだ。お得でしょ?

 C.P.E.バッハのソナタはいずれも流麗で耳に心地よい。
 惜しいのは、あまりにも耳をすぅーっと通り過ぎてしまい、気が緩むと終わってしまっていて耳に残るものが乏しいところである。
 彼の過激な管弦楽作品とはまた異なった表情をこれらの作品では見せている。

 このCDはJ.S.バッハやフリードリヒ大王に関わるフルート作品集のなかの2枚。
 他の作品についても、機会をみつけて(すぐ見つかるだろうから、心配しなくてよろしい)取り上げたい。