中学生、高校生、浪人生、大学と、日々エアチェックに励んでいろいろな音楽作品に出合ったころ(特に浪人生活は宅浪だったので時間はたっぷり)。
あの当時はNHK-FM放送のクラシック番組も充実していて、“昼の歌謡曲”とか“朗読の時間”なんていうのもあったが、1日のかなりの時間クラシックが流れていた。
そして、しばしばけっこうレアな曲もかかり、そういうのを録音することもできたが、カセットテープを処分したあとは、再び巡り合うことができないのではないかというものがあったし、今も残ってる。
それでも、今の世の中、海外のCDが容易に入手できるようになり、再会できた作品も増えている。
CDショップの店頭でこれを実現する(そういう曲のCDを見つける)のはほぼ不可能に近く、オンラインショップで検索できる恩恵を相当授かっている。
でも、今書いたように、まだ再会できていない作品もある。
事故死や突然死でもしない限り、あるいは急に聴力が衰えない限り、まだ私には音楽を聴き続ける時間も気力も体力もあるが、それでも平均寿命からすれば人生の折り返し地点はけっこう前に通り過ぎているわけで、そういう楽曲はなるべく早めに探し当てないと、ボク死んじゃうよ!
そういう中の1曲。
M.ハイドンのホルン協奏曲ニ長調P.134(P.はL.ペルガーによる器楽作品目録の番号)。
中学生のときに札響の定期で耳にして以来、ずっとすっかりご無沙汰していた作品である(といっても、この曲は真剣に探そうと思えばいくつかの録音が手に入る。いままで私が怠惰だったわけだ)。
CDを購入して、聴いてみて、私はうめいた。
「おぉっ!何ひとつ記憶にない!」
そう、懐かしく思う箇所は1つもなかった。
まぁ。それは無理もないな。初めて聴くようなものだから……
で、けっこう退屈極まった。
さて、M.ハイドン(Michael Haydn 1737-1806 オーストリア)だが、あのハイドンの弟である。「どのハイ丼?」なんていう意地悪な質問は無視するとして(だって、あのハイドンに決まってるじゃん)。
音楽史上、果たして多いのか少ないのかわからないが、兄弟とも名を残している音楽家(作曲家)はそこそこいるのである。
で、“交響曲の父”として全国各地の音楽室に肖像画が飾られているハイドン(その数は聖徳太子のそれよりも多いのではないだろうか?)の5歳年下の弟がミヒャエル・ハイドンである(ミカエルとは読みません)。
ミヒャエルはモーツァルトと同時代に活躍した人物で、モーツァルト父子もミヒャエルのことは高く評価していたようだ。
また、W.A.モーツァルトの幻の交響曲である第37番は、ミヒャエルの交響曲第25番P.16にモーツァルトが序奏だけを書いて付けたものである。
指導者としては、ミヒャエルの弟子のなかで最も有名な人に、ウェーバーがいる。どうでもいいことかもしれないが、ウェーバーはモーツァルトの妻コンスタンツェの従兄である。
ミヒャエルの作品を私はそう多く知っているわけではないが、甘口カレーのような傾向。でも、親しみやすくてけっこう素敵なメロディーが出てきたりして侮れない。
ホルン協奏曲ではぼーっとしてしてしまった私だが、同じCDに収録されている「チェンバロ(またはオルガン)とヴィオラのための協奏的二重奏曲(Duo concertante fur Cembalo und Viola mit 2 Violinen ripieno und Kontrabass)」ハ長調P.55(1761)なんて、かなり楽しめた。
ホルン協奏曲の方の独奏はタックウェル(1967録音)。二重奏曲(実質的に協奏曲)の独奏は、オルガンがプレストン、ヴィオラがシングレス(19697録音)。管弦楽はいずれもマリナー指揮アカデミー室内管弦楽団。
デッカ。
いずれにしろ、兄貴を超えることはできなかったということを、歴史は証明してしまった。
そしてまた、兄貴より3年早く亡くなってしまった。
長岡弘樹の「傍聞き」を先日読み終えた。
4編の短編から成るが、いずれも「うまい!」「すごい!」「よくできてる!」「ジンと来た!」と感心のため息をついてしまい、早速別な本も買ってしまった。
その短編の1つの中に、甘口カレーの話も出てくる。だからなんだと言われると、私は困ってしまうけど……
新館入口(2014.6.22~)
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