しばらく耳にしていなかった、ファゴットによる寂しげで素朴なメロディーが突然頭の中で繰り返し鳴るようになった。そのメロディーはホルンに受け継がれ……

1ac996bb.jpg  チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky 1840-93 ロシア)の交響曲第3番ニ長調Op.29「ポーランド(Polish)」(1875)の第3楽章のものだ(掲載譜の旋律。このスコアはDOVER社の大判スコア。にしても、ドーヴァーのスコアってなんでこんなに印刷が汚いというか、鮮明でないのだろう?まぁ、廉価だったけど)。

 きっとこれは、たぶん間違いないと思うのだが、おそらく、連休に入ったというのに、天気がぐずぐずぐずぐずとぐずついてるせいだ。だから、この陰鬱なメロディーが私の左脳か右脳かわからないが、そのあたりの浅い皺周辺で鳴り渡るのだろう。
 でも、大丈夫、この曲、そういう魅力がある一方で、元気いっぱいの快適明朗会計的な部分もあるから、MUU、立ち直っちゃう!……ったく、アホかいな。

 チャイコフスキーの(番号付きの)6曲の交響曲の中で4楽章構成ではない曲は、この第3番のみで、5つの楽章から成る。

 「ポーランド」という名は、第5楽章に“ポロネーズのテンポで”という指示があることから、イギリスで演奏された際につけられた。
 にしても、ハイドンの交響曲第88番が「V字」と、そしてドヴォルザークの交響曲第8番が「イギリス」と、いずれも曲そのものとは関係ないタイトルがついたのには、どちらもイギリスという国が絡んでいる。困ったものだ。

8a5b795b.jpg  私にとってチャイコフスキーの前半3曲の交響曲の中で、最初に聴いたのがこの第3番。
 いろんなエピソードが詰め込まれていてあまりまとまりがないように思えたが、両端楽章のエネルギッシュな響きや中間の3つの楽章のもの悲しさは、なかなかのお気に入りであった。私は“中学生日記”に出てくる悩める脇役のような、物悲しい性格の中学生だったわけだ。
 最近あまり聴かなくなったのは、第3番が嫌いになったのではなく、なぜかチャイコフスキーの作品そのものをあまり聴かなくなったせいだ。

 第3番は後半の3つの傑作交響曲(第4、5、6番)への過渡的作品と言われるが、確かに5つの楽章にこれといった強い結びつきはないし、上に書いたようにいろいろなエピソードを集めた感がある。
 でも、相変わらず、いかにもロシアってものだし、やっぱりチャイコフスキーって音楽だ。

 録音は古くなったが若きマゼールがウィーン・フィルを振った演奏を。
 のびのびしたメロディーの歌わせ方、ちょっと硬質系の爆走。聴いていて自然と体が揺れ動くという、傍から見られたら危険人物に思われる、そんな魔力をもった演奏だ。
 いいねぇ、このハツラツとした若さあふれる推進力。
 あぁ、こ~ふん。
 1964録音。デッカ。

 予定していなかったが(予想できる類のものでは、もちろんない)、知り合いのお父様のお通夜に出るため、これから旭川に行って来る。