eba4094a.jpg  第1夜 取引先との会食。
 居酒屋で、最初に刺身、次にあんかけ焼きそばが出てくるという信じられない順序のコース(そのあとは鶏の唐揚げとか……)。
 先方のお偉いさんに燗酒を勧められ、顔で感謝し内心やれやれでそれを飲む。あんかけ焼きそばをつまみに燗酒なんて初めての経験だったが、それで胃を少しは満たしたために空酒にならないで済んだ。
 そしてまた、この店でいちばんまともな料理があんかけ焼きそばだった。中華料理店じゃないのに……

 第2夜 社内某課との会食。
 居酒屋。“本日の〆”というのがメニューにあったので、最初に今日のは何かと聞くとミニサイズのうどんだと言う。そこで、最後に頼むからねと、意思表示をした。ところが、あとで人数分頼んだら、「すいません。あと1つしかないんです」だって。
 「一杯のかけそばみたいだ!」って皮肉っぽく言ったら、その店員「なっつかしいですねぇ~!」って笑ってた。笑ってる問題じゃないだろっ!

 第3夜 取引先との会食。
 やや高級な和食の店。有名ガイドブックでも紹介されたところで、確かに味は良い。が、料理や酒が上座下座関係なく出される。その店員(たぶんアルバイト)への教育がなっていないのだろうが、いくら味が良くても、これは接待に使えない。
 さらにこの店、座敷が掘りごたつじゃないので、けっこうつらい。

 第4夜 本社から出張してきた人と軽く食事。
 市内のレストラン。ソーセージやハムを頼む。メニューには“ソーセジ”と書いてあり、その通り頑張って読むと、店員にふざけてると思われた節がある。書いてあるのが間違っていることに気づいてないようだ。

 これが先週の月曜日から木曜日までの、私の夜の食事内容である。
 異例とも言える連日の会食は疲れたが、いずれも仕事の延長上のこと。これは言い訳でも合理化でもない。簡単には信じてくれないだろうけど。

 ところで、今年2013年はブリテンの生誕100年に当たるわけだが、ワーグナーの生誕200年でもある。

 先日の北海道新聞には“ワーグナー生誕200年”“反ユダヤ主義でも愛せるか?”“記念行事控えドイツで議論再燃”という見出しの記事が載っていた。

 まぁ、私はワーグナーを愛してるわけじゃないのでどうでもいいっちゃいいんだけど、確かに手放しで祝賀ムードってのは難しいのかもしれない。

 ワーグナー(Richard Wagner 1813-83 ドイツ)の歌劇や楽劇を、残念なことに私は1曲も全曲通しで聴いたことがない。
 だからこそ、ワグネリアンがトロンとしちゃうワーグナーの魅力ってものをいまだに知らないのかもしれないが、でも、チャレンジする気力ももはやない。村上春樹の小説にあるが、もし私がパン屋だったらワグネリアンになっていたかもしれないけど、なってないだろうな、やっぱり。

 というのは、彼の生き方ていうか、性格、振る舞い、態度が好きになれない。「大作曲家の生涯」なんかを読んで、人間として嫌いになってしまった。まぁ、少なからずの作曲家は、だいたいそういうものではあるんだけど……

 だが、彼の音楽のエキスだけは知っておきたい。
 そんな私にうってつけの曲がある。そしてこの曲は、私のワーグナー・レパートリーの重要な曲の1つである。

 楽劇「神々のたそがれ」をマタチッチが組曲にしたものだ。

 「神々のたそがれ」は4部作の楽劇「ニーベルングの指輪(Der Ring des Nibelungen)
」の最終日に上演される作品(指輪は“指環”と表記することもある)。

 「ニーベルングの指輪」を構成する4つの楽劇とは、

 序 夜 「ラインの黄金(Das Rheingold)」 
 第1夜 「ワルキューレ(Die Walkure)」
 第2夜 「ジークフリート(Siegfried)」
 第3夜 「神々のたそがれ(Gotterdammerung)」。

 このように4つの作品を4日かけて上演するわけだ。4連続の会食に疲れたなんて言ってるのとはワケが違う。
 各作品の上演時間は順に、おおよそ2時間半、4時間、4時間、4時間半。痔になっちゃうね……

 私がマタチッチ編による組曲「神々のたそがれ」を知ったのは、1976年のこと。

 マタチッチ(Lovro von Matacic 1899-1985)は1967年にN響の名誉指揮者となり、それ以降もたびたび来日していたが、いつのときのライヴか知らないが、N響を振ったこの曲の演奏がFMで流され、それをエアチャックしたのだった。

 ショスタコーヴィチの交響曲第15番の終楽章は「ニーベルングの指輪」の「運命の動機」の引用で始まるが、それを私が確認したのも、ワーグナーの原曲ではなくこの組曲による。
 カセットテープを処分してからもう20年ほど経つが、その間、私はこの組曲「神々のたそがれ」を聴く機会がなかった。
 CDが出ているのは知っていたが、収録時間がとってもお得ではないので、買わずにいた。

 しかし今年は生誕200年。
 クラシック音楽ふぁんとしては、無視するわけにはいかない。多少でも祝ってあげなくては。ゆえに、ついに買った。

 組曲「神々のたそがれ」の他、序曲と前奏曲が3曲。トータル収録時間は55分。
 ねっ?お得感、低いでしょ?でも、前に出てたときは、もっと収録曲が少なかった記憶がある(オケもN響だったような)。

 で、聴いてみたが、とにかく懐かしかった。

 マタチッチ指揮チェコ・フィルによるこの演奏の録音は1968年。
 また他の3曲はコンヴィチュニーの指揮で、1960録音。
 スプラフォン。

  で、私には第5夜、つまり金曜日の夜は何もなかったのかって?
 あった。
 濃厚にあった。
 釧路に行ったから、その地で……
 しかも18:30から24:00まで。
 「神々のたそがれ」の上演時間ぐらい(休憩時間を含めるとそれに近いものになるだろう)に及んでしまった。