b1200e6f.jpg  貴志祐介の「鍵のかかった部屋」(角川文庫)。

 元・空き巣狙いの会田は、甥が練炭自殺をしたらしい瞬間に偶然居合わせる。ドアにはサムターン錠がかかったうえ目張りまでされ、完全な密室状態。だが防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)の榎本と弁護士の純子は、これは計画的な殺人ではないかと疑う(「鍵のかかった部屋」)。
 ほか、欠陥住宅の密室、舞台本番中の密室など、驚天動地の密室トリック4連発。あなたはこの密室を解き明かせるか!?防犯探偵・榎本シリーズ、第3弾!


 やれやれ。
 もう榎本シリーズはいいやと思っていたはずなのに、結局3冊とも買っちゃったことになる。

 この文庫に収められている小説も面白かったが-傾向は異なるが、この前に読んだ「意地悪な食卓」と比べると、格が違う感じ-、第1弾→第2弾→そしてこの第3弾となると、新鮮味がなくなってきたのは事実(って、最後の最後に言うなよな、ですよね?)。

 ところで、鍵というのは、“錠をあける金属製の物”というのが、私の中の定義である。
 錠というのは、宍戸錠でご存知かもしれないが、戸締りの金具のことである。宍戸錠のことは、だから忘れてよろしい。

 となると、「鍵のかかった部屋」というのは、確かに日常的にはそういう使い方はするが、おかしいのではないか?「錠のかかった部屋」というのが正しいのではないのか?

 私は、プロの作家がこんな間違いをしたことで、いよいよもって崩壊しつつある日本語の将来を憂慮した。

 ところがギッチョン。
 国語辞典をよく見ると、“鍵”には-これを“けん”と読んだ人は職業病だ。ピアニストとしての。ピアニストでもないのにそんな病気にかかっちゃいかん-“錠”の意味もあると書いてあるではないか!

 なぁ~んだ。
 「鍵をかける」は「錠をかける」の、「鍵をあける」は「錠をあける」の間違いだと思ってたのに、全然間違いじゃなかったわけだ。人に嫌がられる指摘をした挙句、恥までかく、という窮地に追い込まれる前に自己解決できてよかった。

0b5c7ddf.jpg  ファリャ(Manuel de Falla 1876-1946 スペイン→アルゼンチン)のバレエ「三角帽子(El sombrero de tres picos)」G.53(1918-19/1919初演)(G.はA.ギャレゴによる作品目録の番号)。

 なぜ鍵の話から「三角帽子」かというと、この曲の冒頭、「オレ!オレ!」というオレオレ詐欺からのメッセージみたいなかけ声のあと、ソプラノの独唱が次のように前口上を歌うからだ。

 Casodita,casodita,
 cierra con tranca la puerta;
 Que aunque el diablo este dormido
 a lo mejor se despierta


 どこにも key も lock もないじゃないかって?
 そうです。ありません。
 しからば訳を読んでみていただきたい。

 若い嫁御よ、扉には
 閂おろしておきなさい
 悪魔はたとえ眠っていても
 ここぞというとき起きてくる!


 やっぱり鍵も錠も出てこないって?
 そうなんですが、閂ってあるでしょ?これ“かんぬき”って読むんだけど、あっ、カンヌキってご存知ですか?
 栓抜きの友達じゃないですよ。扉をしっかり閉めるための横木のことなんです。つまり錠みたいな役割を果たすわけです。

 「三角帽子」は、アラルコンがアンダルシアの民話を元にした小説に基づくバレエ。ただし、バレエ全曲よりも抜粋版である2つの組曲(特に第2組曲)の方がよく聴かれている。

 バレエの筋は、美しい粉屋(粉屋っていうのも、現代では使われないな)の女房をモノにしようとする市長が、逆にさんざんな目に遭わされるというもの。三角帽子というのは市長がかぶっている、つまりは3つのかどがある帽子。いわば権力の象徴ということになる。

 ちなみに、「夕鶴」で知られる木下順二の戯曲に「赤い陣羽織」というものがあるが、これはアラルコンの「三角帽子」をもとにしている。
 その筋は、赤い陣羽織を羽織っている女好きの代官が、人の女房に言い寄り、なんとかモノにしようとする、というものだ。
 さらにまた木下順二には、他にアラルコンの「三角帽子」に基づく、その名もズバリ「三角帽子」、という名の戯曲もある。

 最初ファリャは、「三角帽子」の物語に基づくパントマイム「代官と粉屋の女房」(1917)の作曲にとりかかった。その作曲をしていた1916年に、ディアギレフからバレエ音楽の作曲依頼が来た。ファリャは「代官と粉屋の女房」を改作し、大編成オーケストラのバレエ音楽として「三角帽子」を完成させた。
 
 今日は全曲盤で、ブルゴス指揮フィルハーモニア管弦楽団、アンヘレス(S)の演奏をご紹介。録音は1963-64と古いが、LP時代に組曲版で私が親しんだ録音だ。
 スペインがなんたるかを私は知らないが、スペインの情緒が伝わってくる演奏で、リズム感は抜群だ。

 EMI。

 ここで最近私のところに来た、3に関係するメールをご紹介(抜粋版)。

 【太鼓の達人・3本目のバチ?】

 太鼓の達人で無配記録の関ジャニの大倉くん。
 しかし、フルコンボで肉薄した桐谷美鈴も凄かったぁ?!!!
 これは練習しないとなかなか手ごわい・・・・
 そんな時、アキバで凄い事をやってみた!
 達人に本人にはナイショで景気付けにシラグラってのを飲ませた。
 コレ、バイアグラの成分が入ってるんだけど(苦笑)
 達人はプレイに集中して、太鼓を叩き始めた。
 と、だんだんと、達人の股間のところが・・・
 予想通り、テントを張ってきたんです♂
 達人は太鼓に集中しています。
 で、
 きっと、チ●コはアクティブに下着に擦れてるんす。
 集中とチ●コへのコスれる刺激で自然に硬くなってるんです!
 本人がまだ気が付いてないようですが、
 ちょっと回りの人は気が付き出しました。
 このシルデナフィルって成分なんだけど・・・
 実は、結構、自分の意思に関係なく、すげ?硬くしてくれる訳(^^)v
 なんか、まるで、アソコが別人のモノみたいに(大笑)
 だから、いつもの達人じゃなくて、
 硬くて大きなチ●コを武器にした達人に生まれ変わって叩いてる。
 って感じ。
 きっと周りの人も、太鼓叩いてる達人の股間に、もう1本のバチがあるように、
 いい光景だたっと思うよ???(爆)


 それ(2行目)を言うなら、“無敗”だろうが……
 そう(最後の行)言うなら、“だった”でしょうが……
 いずれにしろ、くだらないな。
 私はちっとも、(苦笑)にも(大笑)にも(爆)にもならなかった。
 そんなの取り上げて、ごめん。