7eccadb2.jpg  世界陸上が終わった。
 世界が終わったわけではなく、何よりだ。

 とにかく、開催地にちなんで、ってわけじゃないけど、 ショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakovich 1906-75 ソヴィエト)の交響曲第4番ハ短調Op.43(1935-36)。

 この曲は初演の直前になって作曲者によってそれがキャンセルされ、1961年になってやっと初演された作品。そのあたりの話はこちらをご覧いただけたらと思う。

 とにかく気難しい曲だ。
 聴き手にちっとも愛想をふってくれない。ほぼ同じ時期、1935年に初演されたバレエ「明るい小川」Op.39とは、ずいぶんと違う音楽だ。

 が、聴くたびに新たな発見-というとオーバーな言い方に感じもするが-がある。

 そんなフレンドリーさのない曲なので、ガッツンと演奏されると、体調によっては耐えられなくなる。
 その点、プレヴィン/シカゴ交響楽団の演奏は重量感があまりなく、胃もたれしないもの。妙に考え込まされもしない。
 健康な状態で聴くと物足りない感じがするのだろうが、洗練されたこの演奏は第4番という化け物が化け物っぽくなく処理されていて、なかなかユニーク。
 「ちゃんと治ってからにしなさい。ショスタコを聴くのは」と叱られている、病み上がりの方へ特にお薦め。

 1977録音。EMI。

 ところで、世界陸上の中継の何かのコーナーで、アレンジされたショスタコの交響曲第12番第1楽章の終わりの部分が使われていた。
 ロシアで開催されているからなんだろうけど、それにしても第12番を使うなんて、なかなかマニアックだ。
 こっそり感心してしまった。