a0281bb2.jpg  先日、十勝は大樹町の、それもほとんど広尾との町境の、国道沿いに意外と唐突に建っているラーメン屋“赤門”に立ち寄った。

 私の上司の話によると、この店、ずっと前からあるラーメン屋だという。

 こんな場所で、ずっと営業し続けていられるということは、美味しいに違いない。

 ということで、食べたのだが、私好みの昔風で、かなり気に入ってしまった。

 しかも値段は、醤油ラーメンで650円とお安い。野菜ラーメンにしたとしても、+50円という良心的設定。

 店を切り盛りしているのは女性ばかり。
 くわえたばこのおっさんが、自分に襲い掛かる煙に目を細めながら麺を茹でるなんていう、信じがたいがそこそこ現実にありうるような光景は、ここでは無縁。

 ということで、お薦め!
 って、なかなか行ける場所でないけどね。

 別に赤い門が建っているわけでもないのに、なんで“赤門”なんだろう?
 東大と関係があるのか?
 それとも単に、店主の姓が“赤門”っていうのか?
 まあいいけど、こってり系のラーメンが苦手な私には、かなりポイントの高い味。しかも単にあっさりしているだけじゃなく-そういうラーメンにライスをつけると、けっこう味気なくてつらい-深いコクがある(ような気がする)。

 クラシック音楽作品で“門”といえば、みなさんは何を思い浮かべるだろうか?

 たぶん、たぶんですよ、ムソルグスキーの「キエフの大きな門(La grande porte de Kiev)」なんじゃないでしょうか?(←いくぶん、様子伺いでトーンダウン)。

 そうでしょ?
 TVの“ナニコレ珍百景”でも使われたりしてるし。

 よし。
 決めた!

a2a78029.jpg  本日はムソルグスキー(Modest Petrovich Mussorgsky 1839-81 ロシア)の組曲「展覧会の絵(Tableaux d'une exposition)」(1874)。
 そう、終曲が「キエフの大きな門」である。

 ムソルグスキーの友人の画家・V.ハルトマンが1873年に39歳で亡くなり、その追悼展が'74年に開かれたが、この曲はそのときの印象をもとに書かれたという。

  ピアノ独奏曲だが、ラヴェルによる管弦楽編曲のほか、いくつもの編曲版が生まれた。

 とはいえ、ご多分に漏れず、ここで取り上げるのはラヴェル編のもの。
 演奏はスヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団。1974録音。メロディア。

 いかにもロシア、いかにもスヴェトラーノフっていう演奏。
 録音が古くなったのに加え(とはいっても、1974年ならまだまだ新しいのだが)、とても良いとは言い難いメロディアの録音なので、音は苦しい。
 そして、ときに粗暴ともいえるパワーと土臭さ。

 ここに響き渡るのは間違いなくムソルグスキーの音楽。ラヴェルの華麗な施術は触媒のように前面には出てこない。

 録音された当時は大絶賛されたに違いないと思うが、このワイルドさは現代にはちょいと野暮ったく感じられるかもしれない。

 ラーメンといえば、ウチには期限切れのインスタントラーメンがたくさん残ってる。
 まいったなぁ……