b5d6b6dd.jpg  まるで華麗なテクによってタマタマが光り輝くかのような期待を持たせる淫靡ながら明るいタイトルで申し訳ないが、なぁに奥さん、怖がる心配なんてこれっぽっちもありません。

 先々週のことだが、阿古屋係長と昼に長寿庵に行った。
 タマタマさほど混み合っていなかったので、混み合うと時間がかかりますと親切心から暗に受注拒否されるご飯ものを、しめしめとばかり頼むことにした。

 私は玉子丼(そば付き)、係長はそば定食である。
 このそば定食というのがまたすさまじく、冷たいそばと温かいそばとご飯と味付けのりというセットなのだ。

 で、私はここで初めて玉子丼を頼んだが、う、う、うまい!
 味に奥深さがある。
 推察するに、これには揚げ玉(天かす)が加えられている。だから単調に陥りがちな玉子丼が、ときに海老とじ丼のような味に変化(へんげ)するのだ。

 おやじさん、すっごぉぉぉ~い!職人技だ!匠の技だ!
 そんなの珍しくないよという地方にお住まいの方もいらっしゃるかも知れないが、私にとっては初体験。
 ということで、揚げ玉と玉子で玉玉なわけ。ねっ?いやらしいことなんて何にもない初体験の話でしょ?

 ただ、惜しむらくは、このとき注文した際、「そばは温かいのでいいですね?」と言われ、私は「ええ!」と即答してしまったことだ。本当は冷たいそばがよかったのに……
 店側にはなんの落ち度もない。私に勇気がなかったからだ。もう一度「ブレイブ・ストーリー」を読み直して根性を入れ替えなくてはならない。

 さて、技である。
 ギでなく、ワザである。

 サラサーテ(Pablo de Sarasate 1844-1908 スペイン)の「カルメン幻想曲(Fantaisie sur Carmen de Bizet)」Op.25(1883頃刊)。ヴァイオリンの技をこれでもかと披露するために書かれた曲だ。

 ご存じの方も多いだろうが、、サラサーテは19世紀のヴァイオリンのヴィルトゥオーソ(超絶技巧奏者)の1人。
 そのテクにほれ込んで、ラロやサン=サーンス、ブルッフなどがサラサーテにコンチェルトを捧げたほか、サラサーテ自身も、自分のコンサートで技を駆使し聴衆を感嘆させるための小品を書いた。そのなかの1曲、「ツィゴイネルワイゼン」は特に有名だ。

 「カルメン幻想曲」は、原題にもあるようにビゼーの歌劇「カルメン」の中に出てくる“おいしいメロディー”を使った独奏ヴァイオリンとオーケストラ(またはピアノ)のための曲。序奏と4つの部分から成っている。

 にしても、カルメンの有名なメロディーを使うなんて、それこそ技を誇示するにはもってこいだ。その着眼点も立派(おぬしもなかなかやるのぅ。ふふふっ)。

 序奏と4つの部分から鳴り、使われている曲は、序奏は第4幕への間奏曲「アラゴネーズ」、第1部は第1幕の「ハバネラ」、第2部は第1幕「トゥ・ラララ」、第3部は第1幕「セギディーリャ」、第4部は第2幕「ジプシーの歌」。

 確かにヴァイオリンの様々なテクが駆使されるのだが、ひねくれ者なのかそれとも正直者なのかわからないが、私はカルメンそのものを聴きたくなってしまう。
 「すごいねぇ~!で?」って感じ。熱狂的に曲が終わったあと、即座に「さて、お耳直しに次は何を聴こうかな」って思っちゃう。

 こういう曲には、けっこう軽いノリのパールマンなんかがいい。
 ということで、パールマンの独奏、メータ指揮ニューヨーク・フィルの演奏で。
 写真を見ても、この2人、とにかく楽しそうでしょ?
 1986録音。グラモフォン。