三善晃(Miyoshi Akira 1933-2013 東京)が亡くなった。
同時代の、しかも日本の音楽家の訃報を目にすると、自分も堅実に歳を重ねてきていることを痛感する。
にしても、氏のもっと若いときのイメージだけが残っていたので、新聞記事のしわが増えた写真と80歳だったということに驚いてしまった。
ちなみに妻は、一瞬三善英史が死んだと勘違いしたようだ。やれやれ……
ドラマを見ていたわけではないが、のちにサントラ盤で知った1971年放送のNHK大河ドラマ「春の坂道」のテーマ曲は三善の作品である。この曲は私にとっても印象深い。
そしてまた、札響の定期で聴いた交響詩「連禱富士」(1988)も良い曲だった。
訃報記事で初めて知ったが、1972年に開催された札幌オリンピックのファンファーレも氏によるものだ。
ファンファーレのメロディーは忘れてしまったが、記憶では単に壮麗なだけにとどまらない“複雑な”音楽だったように思う。
小学生だった私はそのころ奥田歯科というおじいちゃん先生の歯科医院に通っていた(オリンピック開催中は学校は休みだった)。
予約制じゃなかったので、とにかく待合室で待たされた。
そこにあるTVでオリンピックが放送されていたのを思い出す。メロディーは思い出せないが、ファンファーレも何度も流れた。
そして、なんでこんなに待たされるんだよぉ、と辛い思いをしたのを、このたび思い出してしまった。
それはさておき、ヴァイオリン協奏曲(1965)は傑作だ。
NHKの委嘱で書かれた3つの楽章からなる作品である。
作曲者は次のように語っている。
1965年、NHKの委嘱により作曲、江藤俊哉さんの独奏ヴァイオリン(森正指揮NHK交響楽団)で放送初演されました。1964年の前作「管弦楽のための協奏曲」は、自分の内発的なものがそのまま凝固して一つの持続となることを怖れ、外的世界の入口に立って自分の内発的なものを証言する姿勢を意志的とったものです。
想像が自己増殖して葛藤する塊りとなり、それだけで心の深みの即自的存在となってしまうようなところを、私は自分の中に感じていますので、その塊りから一度、即時性を奪いとって眺め直したい気持ちが強かったのです。
この気持は私の日常、意識されつづけて果てしないのですが、65年になって、前年の姿勢の無理が解りました。
内部のロマンティックなものの発現に、私は未だ十分に手をつくしておらず、葛藤する塊りの即自性を不安がるのは怠惰だった。
想像の形質は、私の中でもっと変容をくり返し、いつのまにか外部の秩序をそれ自体の中にとり込むのでなければ、―という気持が、私をこの曲に向かわせました。
それは、弦の、本質の音への愛を、もっと私なりに選びぬく、という作業とも一致しました。
江藤さんとN響によってたびたび演奏される、その都度、私は、一ロマンティストの古典への憧れ、怖れをこの曲の中に聴きました。倖せな経験でした。黒沼さんは、チェコ、メキシコ、更に日フィルとの協演、とこの作品を演奏して下さり、今回は若杉弘さんと読響の協演を得ての録音。古典への憧憬がどのような歌になるか、たのしみです。(下のCDの解説による)
うん、なんか難しいことを書いている。
30歳ちょっとなのに、すっごく思慮深く分析的だ。
さすがである。
同じ歳のころ私は何を考えていただろうか?
エッチなことを想像してそれが頭の中で増殖してはいなかっただろうか?
冗談はさておき、作曲者が意図したものとはずれるのかもしれないが、私はこの曲にベルクのヴァイオリン協奏曲の影を垣間見る感じがする。
第1楽章=ディアローグ:レント
第2楽章=オスティナート:プレスト
第3楽章=ラメンタービレ:レント/プレスト
黒沼ユリ子の独奏、若杉弘指揮読響(読売日本交響楽団)の演奏で。
1969録音。DENON。
若杉弘も森正も江藤俊哉も故人。
読経を……
新館入口(2014.6.22~)
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© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
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いえいえ、これ実際に本当にあった勘違いです。まじに!