98b45d55.jpg  根がデロンロンデロンに腐ってしまった“怒帝王”。

 心配してくださっている読者の方もいらっしゃって、皆さんが私自身のことよりこのアロエの方を気にかけられておられるようなのがちょっとプンプンだが、そこはそんな了見の狭いことではいけないわけで、ともかくも腐敗が根だけでおさまっていたためにそれを切断、再生のために挿し木(挿し芽or挿し株?)して安静状態に放置した。その様子の写真を載せておく。

 これだけ見るとすっかり根を張って元気に生育しているように思えるが、ぜーんぜん。ただ土の中に茎を挿し入れているだけである。

 この鉢が置かれている部屋は、これまで単に“和室”と呼ばれていたが、今では“怒りの間”と命名された。みなさんにおかれましても、元気になることを祈っていただくよう強要する次第だが、私としてもうさんくさいと思わなくもないが、部屋にモーツァルトの、それもとびっきり健康的な曲を流すという音楽療法を試みた。
 きっと肌で、トゲで、感じてくれたことだろう。

34ca1985.jpg  音楽療法ではないが、私が中学生のころ、「サボテンがしゃべった」っていう本を買ってしまった。なぜなら、サボテンが好きで、そのころはいくつもの鉢を持っていたからだ。
 が、冷静に考えれば明らか、明白、自明の理なのだが、サボテンが「やぁ!おはよう」などと話すわけがなく-だいたいにして口がないではないか!-、要は刺激を与えれば微細な電気反応が起こるといった内容だった。
 ねえねえ、こういう書名って許されるの?
 今になって文句を言ってもしょうがないけど。

 そんなことはとにかく、クーベリック指揮ウィーン・フィルによるモーツァルト(Wolfgang A-madeus Mozart 1756-91 オーストリア)の交響曲第35番ニ長調「ハフナー(Haffner)」K.385(1782)。名前の由来はここに書いてあるので、ご参考に。

 この演奏はLPレコード、うんこ色のジャケットのセラフィムの廉価盤で聴いていたものだが、すまないが最近とみに、昔親しんだ演奏が懐かしく思われるのである。

 あらためて聴くと、淡く残っている記憶とは違って、けっこうシャープでたるみのない演奏だ。あのころは私の腹だってたるみがなかったと思うと、ちょっぴり涙が出ちゃう。
 録音は古いが、演奏は今聴いても意外と古臭くない。
 もっとネトネトまぁ~たりしていたような-そういうモーツァルト演奏が主流だった-気がしたのは、うん、きっと別な演奏だ。

 交響曲第41番「ジュピター」とのカップリング。
 このジュピターも贅肉なしの引き締まった演奏と言えるだろう。

 1961録音。EMI。

 にしても、ハフナーって憂鬱な気持ちや不安といった負の感情を吹き飛ばしてくれる曲だ。
 ん?となると、怒りも消しちゃう?
 “怒帝王”に聴かせるにはむしろ毒だったりして……