188613bf.jpg  月曜日は4時間ほど運転したので、車内でCDを聴いた(あのときはまだ「これから紅葉だわい」と言っていたのに、わずか2日後に冬になるとは)。

 運転しながらクラシック音楽を聴くことはあまりしない。というのも、エンジン音や走行音でよく聴こえないからだ。
 が、長い時間雑音まじりのラジオをかけっぱなしにしているのもどうかと思い-OFFにすればいいって?なるほどぉ~-、今回はあらかじめお泊り道具と一緒に持ってきたCDをかけた。特にラジオの入りが絶望的な1時間ほどの間だけだけど。

 曲はバッハ(Johann Sebastian Bach )の管弦楽組曲の第1番から第3番。

 バッハは管弦楽組曲(Suite)と呼ばれている作品を4曲書いている。昔は5曲だったのだが、第5番は疑作と見なされるようになり、現在はバッハの手になる物は第1番~第4番とされている。
 また、バッハ自身はこれらを「組曲」ではなく「序曲(Ouverture)」と呼んでいたという。序曲から始まる音楽作品といった意味である。そのため、現在では「序曲」という曲名を用いることも増えてきている。

 4曲の中で最も有名なのは第2番。
 “優雅”と評される名曲だが、個人的にはどこか“優雅”と思えないところがある。だって、全体に陰な曲だから。上品なのは間違いない。けどどこか物憂げなところがあって、日本語としては正しいのかもしれないが、“優雅”ってこういうものなんだろうかと、余計なことを考えてしまう。これはあまりドライブに向かない。

 第2番と並んで有名なのは第3番。第2曲がとりわけ有名な「エア(アリア)」。編曲されて「G線上のアリア」とされたときから、むちゃくちゃ有名になった。ずっと昔の話だが。
 第3番は金管が入っていて華麗。が、やややかましいところもあって、やはり運転向きとは言えない。

 そんな私の最近のお気に入りは第1番ハ長調BWV.1066(1717-1723頃)である。
 この曲こそ優雅って感じがするのだが……

 第1番は次の7曲から成る。

 1. 序曲
 2. クーラント
 3. ガヴォット
 4. フォルラーヌ
 5. メヌエット
 6. ブーレ
 7. パスピエ

 このうち、ガヴォット、メヌエット、ブーレ、パスピエの4曲はⅠとⅡに分けられる2つの部分がペアになっている。
 なお、クーラントの語句を目にして車の冷却水を思い浮かべた人は、私と同じ発想レベルだと反省した方がいい。ちなみにウチの車のクーラントは緑色の方である。

 編成は独奏楽器的に扱われる2ob,fgと弦楽群、通奏低音。つまり合奏協奏曲の性格を持っている。

 今日ご紹介するのはブランデンブルク協奏曲の演奏同様、独創的なカザルスの演奏。オーケストラはマールボロ音楽祭管弦楽団。

 札幌の地下鉄。
 札幌ドームがある福住駅。
 ファイターズの試合があるときは、券売機のところに“大変混雑しますのでお帰りの切符は先にお買い求めください”みたいな内容の張り紙が貼られる。
 これが、なぜか毛筆で書いたような手書きの文字なのだ。

 カザルスの演奏はこの文字を私に思わせる。
 がっちりとしていて、力強くて、意気込みが感じられる。が、どこかが、何かが違う……
 良い演奏なんだけど、良くも悪くもどこかビミョーに異質だ。
 でも、騒音にさらされる車内で聴くには実に良いし、もちろんきちんと聴く分にも“ひと味もふた味も違うものを耳にしちゃってる”っていう、ちょっぴりいけないことをしているようなワクワクドキドキ感がある。
 
 1966録音。ソニー・クラシカル。

 その月曜日。
 高速道路を順調に走ったが、途中ちょっと先がつまって低速になったとき。
 またまた起きた、ノッキング。
 タコメーターが1500回転の目盛あたりを中心にウィンウィンと上下に振れた。アクセルを踏み込むと直るのだが、そんなことが数回起こった。
 これっていったいなんなんだろう?