日曜日の午後、昼寝をしようといろっぽいオットセイのようなポーズで横になって本を読んでいた。
浅田次郎の「蒼穹の昴」(講談社文庫)の第2巻である。
中国人の登場人物の名がどうにもたまに残らず、実に難儀して読んでいるが、第2巻のあらすじはカバー裏の記載によれば、こんなものである。
官吏となり政治の中枢へと進んだ文秀。一方の春児は、宦官として後宮へ仕官する機会を待ちながら、鍛錬の日々を過ごしていた。この時、大清国に君臨していた西太后は、観劇と飽食とに明けくれながらも、人知れず国の行く末を憂えていた。権力を巡る人々の思いは、やがて紫禁城内に守旧派と改革派の対立を呼ぶ。
で、まぶたが重くなってきて、呼吸がスリーピング・モードになってきたのが自分でもわかったときに、いきなり携帯電話が鳴った。まぁ、予告後に鳴るってことはあまり経験がないが……
それは会社貸与ではなく個人の携帯電話の方。この番号を知っているのは家族だけだ。
が、背面ディスプレイには登録した家族の名ではなく、着信番号が表示されている。
こういうわけで、私は警戒し、マクドナルドのバイトなら即刻クビになるような愛想っ気のない声ででる。
「はい……」
「もしもし、ヤマだけど?」
「はい[E:up]?」
「えっ、あっ?オレ、間違ってる?」
「私、ボブだけど」(実際にはボブではなく危険を冒して実の姓を言った)。
「あら、間違ってるかもしんないね。いや、オレ、間違った。ごめんなさ~い」
こうして切れた。
なんか、私の心の中を疾風が通り過ぎたような感じだった。
そんなことがあったという報告を終わる。
で、「蒼穹の昴」のあらすじに改革派って文字があったから、今日はショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakovich 1906-1975 ソヴィエト)の交響曲第5番ニ短調Op.47(1937)。
なんでかっていうと、「革命」の通称があるから。といっても、この曲が「革命」と呼ばれることはずいぶんと少なくなった。 ボックス・セットを買っちゃったものだから、最近登場回数の多いシルヴェストリを今回も取り上げる。
オーケストラはウィーン・フィル。1960録音。
全体に音ががさついているが、演奏自体はそんなに変態的なことはしていない。
重々しい第1楽章の開始にはなかなかひきつけられるものがあるし、第2楽章も茶目っ気というより貫録がある。
第3楽章ではアンサンブルが危うい箇所があるが、逆にそこでの音の絡み合いが万華鏡をぐるぐる回して見ているかのような面白さがある。
第4楽章の驚くほどの高速で始まる。間違って一味唐辛子をなめてしまった幼児が大衝撃でバタバタとあたりを早足で歩きまわるかのよう。
そして、この曲自体はやっぱり良い曲だと、なぜか納得させられる、不思議なパワーを秘めた味のある演奏だ。
まぁ、ぜひとも聴いとかなきゃならない1枚に位置づけることはないだろうけど。
ただ、お買い得セットの1枚だから、損した気分にはならないはずだ。
EMI。
ところで、文秀は“ふみひで”じゃなくて“ウエンシウ”。春児は“はるじ”じゃなくて“チユンル”と読む。
春児は宦官を目指しているが、宦官とは去勢された官吏である。
20日の記事で、なんかこいつ、奇妙な趣味があるのかなと、あれだけ断ったのに、それでも思った方もいるかもしれないが、この小説を読んでああいう表現になったのである。
つまり、ああは書いたものの、私には去勢された男性の知り合いはいないということを、重ねて申し上げておく。
新館入口(2014.6.22~)
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