北海道新聞の朝刊に週1回連載されている「おじさん図鑑」。
書いているのはエッセイストの飛鳥圭介氏。
先々週のタイトルは「嫌いな言葉」だった。
ずっと以前、おじさんはこんな文章は嫌いだということで、「~と思うのは私だけだろうか」というのをヤリ玉にあげた。鼻持ちならない気取りが透けて見える、と書いた。ひと様の文章を批判する資格などないが、好き嫌いなら言える。おじさんが嫌いな定形文がもうひとつある。
「その結果、☓☓したのは言うまでもあるまい」
という文章だ。
なるほど。
確かに「~と思うのは私だけだろうか」というのは、聞いていて「そうだよ、おまえだけだよっ!」と思わず突っ込みを入れたくなる。が、小心者の私は、それを心の奥底でつぶやくだけである。
「☓☓したのは言うまでもあるまい」?
確かに、それじゃあ言わなくてもいいよな……
で、私は昨日JRで移動したわけで、その結果、車内で読書したのは言うまでもあるまい。
浅田次郎の「蒼穹の昴」第4巻(講談社文庫)。
前回の都市間移動の際に、計算ミスで携えた本を早々に読み終えてしまい、割り込みで急きょ購入した「珍妃の井戸」を読んだが、やっと連続ものの最終巻に入ることができた。
人間の力をもってしても変えられぬ宿命など、あってたまるものか―紫禁城に渦巻く権力への野望、憂国の熱き想いはついに臨界点を超えた。天下を覆さんとする策謀が、春児を、文秀を、そして中華四億の命すべてを翻弄する。この道の行方を知るものは、天命のみしるし“龍玉”のみ。感動巨編ここに完結!
なのである。あらすじは。
ところで、「~と思うのは私だけだろうか」とか「☓☓したのは言うまでもあるまい」なんていう言い回しの文章を書く音楽批評家っているよな。誰とは言わないけど。
確かに、その人の書く評論や批評って、上から目線の姿勢がとても強く滲み出ていて、私も好きじゃない。
これって、つまりは、私がおじさんである証拠にほかならないと思うのは、私だけだろうか?(←そーだ、そーだ!) ショルティ/シカゴ響によるショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakovich 1906-75 ソヴィエト)の交響曲第10番ホ短調Op.93(1953)。
1990年のライヴ。
ショルティが指揮したタコ10と、おじさんが嫌いな言葉と、中華四億の命になんら関係がないことは言うまでもあるまい。
おじさんどころか、1912年生れのショルティがこの演奏をしたのは、あと何年かで80歳になろかというとき。もうおじいさんと呼べる歳であったのは言うまでもあるまい。
なのに、信じられない!この若々しさ、スピード感。いったい何種類のサプリメントを飲んでたんだ?と思わずにはいられない。
速すぎるんじゃないかとさえ思ってしまう。が、これがショルティなのだ。
そしてピシッとした締まりと筋肉質の歯ごたえ。放し飼いで育てた国産鶏のもも肉のようだ(もちろん偽装していないやつ)。
第9番と一緒に収められているのもいい。軽食のような(でも毒のある)第9番があったからこそ、そのあとにこの第10番の“重さ”が生きる(気がしないでもない)。
デッカ(タワレコ・ヴィンテージ・コレクション No.10)。
新館入口(2014.6.22~)
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© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
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七味とうがらしさんの表現にはいつも感心させられます。貴ブログも感心して読ませていただいております。コメントも今度入れさせていただきます。