半世紀にわたり、落日の清王朝を一人で支えた西太后が人生の幕を閉じようとするころ、張作霖や袁世凱は着々と力を蓄えていた。死期を悟った西太后が考え抜いて出した結論は、自らの手で王朝を滅ぼすということだった。次の皇帝として指名したのは、わずか3歳の溥儀(プーイー)。その悲壮な決意を前に、春児は、そして光緒帝は―。
浅田次郎の「中原の虹」第2巻のあらすじである。
それにしても、当然のことではあるが、「蒼穹の昴」で登場した梁文秀やミセス・チャン、春児(李春雲)の兄の春雷や妹の玲玲などがここに登場して物語が、時代が、人間関係がつながっていくところは背筋が寒くなるほど見事。
すごい構成力だ(って私が偉そうに賞賛することではないが)。最初から綿密な計画を立ててないとこういう展開にはできない。ただ、どこまで史実に寄り添っているのかが、私にはわからないが……。あと、広い中国なのに世の中は狭い?
私によくわからないのことが1つある。、ミセス・チャンのことだ。「蒼穹の昴」第3巻で最初に彼女が登場したときには、目にした日本人新聞記者が、アメリカの記者の秘書をやっている彼女を醜女(しこめ)と評しているのだ。ところが「蒼穹の昴」のその後の途中から、そして「中原の虹」でも、誰もがはっとするような美女という風に変わっているのである。最初の姿は仮の姿、つまりは変装上手ってことか……。それとも変化(へんげ)か?
そこで醜女と美女、変装と変奏ってな感じで、「神聖な舞曲と世俗的な舞曲(Danse sacree et danse profane)」。ドビュッシー(Claude-Achille Debussy 1862-1918 フランス)が1904年に作曲した協奏的作品である。
独奏楽器としてハープが用いられているが、実はこの作品、このころ半音階ハープを売り出したプレイエルの依頼で書かれた。
半音階ハープはエラール社のペダル・ハープに対抗する楽器で、そのPRのためにプレイエルは作曲家として不動の地位にあったドビュッシーに作曲を頼んだのだった。
そして……
このとき書かれた「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」はこのように今でも名曲として残っているが、半音階ハープは消滅してしまった。演奏上不便な面が多かったのだそうだ。
エラールの勝ち!プレイエルの負け!
この曲、現在ではふつうのペダル・ハープで演奏される。
曲はヒポ・フリギア旋法で書かれた第1楽章と、リディア旋法の主題に基づく変奏曲の第2楽章の、2つの楽章から成る。
なお、「聖なる」と「世俗的な」というタイトルには、特別な意味はないそうな……
数珠、いや、ジュスのハープ、クリヴィヌ指揮国立リヨン管弦楽団の演奏で。
1994-95録音。DENON。
大学生のとき、同級生に中原君という人がいた。
おとなしくて温厚な人だった。
が、突然「どーして天狗のお面は怖いのかな……」などとつぶやいたりする不思議な人だった。
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MUUSAN
クラシック音楽、バラ、そして60歳代の平凡ながらもちょっぴり刺激的な日々について、「読後充実度 84ppm のお話」と「新・読後充実度 84ppm のお話」の2つのサイトで北海道江別市から発信している日記的ブログ。どの記事も内容の薄さと乏しさという点ではひそかに自信あり。
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© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
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