5a32d799.jpg  アボガドが死んだ。

 葉が落ち、竹ひご並みに細い幹がシワシワになり、さらには褐変し、日ごろの私のように生気がまったく感じられなくなった。

 種から育てたアボガドは枯れた。

 旺盛に繁茂し、やがては実をたわわにつけ、マグロの刺身代わりにわさび醤油で食べる。そんなトロピカルな食生活をおくるという空想、妄想、幻想はついえた。

 そこでベルリオーズ(Hector Berlioz 1803-69 フランス)の「幻想交響曲(Symphonie fantastique)」Op.14,H.48(1830/改訂1831)。

 シルヴェストリ指揮パリ音楽院管弦楽団の演奏で。
 1961録音。EMI。

 シルヴェストリの他の作品の演奏同様たくましい。全曲を通して体育会系の力強さがある。
 急にテンポを上げたりアクセントを強調したりして、聴き手のスケベ心をくすぐってくれるが、人によってはクセぇことしやがってと思うかも。
 でも、この演奏が発するオーラもまた、古き良き時代を感じさせる心温まるものでもある。

c55980b4.jpg  第1楽章提示部の反復なし。第2楽章のコルネット助奏なし、かつ、終盤でアンサンブルが怪しい箇所あり。第4楽章の反復もなし。
 第5楽章の鐘の音は、ありきたりのようでいてけっこう深みある余韻を残す。

 にしても、水栽培ではあんなに生育が旺盛だったアボガド。
 土に植えてしばらくして枯れたということは、前のバラの一件(いや二件か)も考えあわせるに、百均で買った土が悪いとしか思えない。
 私の栽培管理には問題はなかったはずだ。やや放置プレイ的ではあったが……

 でも、それほどアボガドが好きなわけじゃないから、いや、ほとんど全然好きじゃないから、収穫できなくなったってことは-そもそも育ったところで実がつくのだろうか?-全然残念じゃない。いや、強がりじゃなく、ほんとうに。
 育てていた植物を枯らせてしまったということが、私のプライドをひどく傷つけるのであった。

 ただし、である。
 Wikipediaには次のような記述がある。

 “冬には葉が枝ごと落ちて、乾いた茎だけになって完全に枯れたように見える状態になる場合もあるが、翌年5月頃までには再び芽吹くことが多いので、それまで諦めず経過を観察した方が良い”。

 さて、みなさん、どう思います?

 村上春樹のエッセー集に「むずかしいアボカド」っていうのがあるが、まったく思った以上にむずかしいやつだ……。んっ?アボガドじゃなくて、アボカド?