525caf23.jpg  先週の水曜日。

 私は昼食にラーメンを食べた。それも2時過ぎになってから。

 私のことをラーメン好きだと思っている人は少なくないような雰囲気に世の中なってしまっているようだが、決してそんなことはない、と自分では信じていたが、なんだか本当はボク、ラーメン好きなような気がしてきている今日この頃である。

 だが、この日の昼食については大きなトラブルがあったのだ、私に。

 11:30過ぎに発車したJRに乗った。
 この日は私としては珍しく、車内のワゴンサービスで、お姉さんから弁当を買って食べようと決意していた。
 幸い私の隣の席は空いている。恥らいながら食べる必要はないわけだ。

 こういうときって、ふだんはまったく気にもしていないのに、なぜこんなに車内販売がなかなかやって来ないのかと、すっごく長く感じる。
 
 発車から30分。
 ようやくワゴンがお姉さんを押して、いや違う、お姉さんがワゴンを押してやって来た。
 私は空腹を悟られないようできるだけ優雅に言った。「お弁当がありますか?」

 彼女は笑顔で答えた。
 私の予想では「幕の内弁当と、軽いものならサンドイッチもご用意しております」といった答えが返ってくるはずだった。
 が、「申し訳ございません。本日はもうすべて売り切れてしまいました」という極めてショッキングなものだった。「軽いものでしたら…」、(しょうがないサンドイッチで我慢するか)、「バームクーヘンはございますが」。

 へっ?
 ばうむくぅへんとおっしゃいましたか?
 それってお菓子でしょ?おやつでしょ?

 「いえ、結構です」。私はあくまでも紳士的に答えた。
 お姉さんは私の横から去っていった。

 さてさて、どうしたものだろう。
 これで札幌に着くまでは昼食をゲットする道はなくなったのだ。
 やっぱりいつもどおり、コンビニのおにぎりを買って乗り込むべきだった。
 にしても、6号車と5号車で売り切れとは!(私は4号車に乗っていた)。3号車や2号車の客の中には、私と同じように途方に暮れる人がいるだろう。そして野蛮な人々が乗っているかもしれない自由席車両の1号車では暴動が起きるかもしれない。

 札幌駅に着いたとき、私は栄養不足で歩くのもやっとだった。
 が、最後の力を振り絞って駅地下APIAのラーメン屋になんとかたどり着くことができた。特にラーメンが食べたかったわけではないが、本格的なご飯物をこの時間に食べると夕食に支障が出ると判断したのだ。

 ラーメンほど人によって美味しい、そうでもない、まずいという評価が分かれるものはない、ということで、先日石田さんと意見が一致した。
 石田さんというのは、仕事で私とお付き合いのある人だ。だから、皆さんにとっては特にマークすべき人物ではない。

 で、石田さんの好みはともかく(聞いたはずだが、飲みながらの話だったので店の名前は私の頭から湯気となって消え去ってしまった)、札幌で私が美味しいと思っているのは北4西1の北農ビル地下にある“菅家”というラーメン屋だ。地下通路でつながっているその隣のホクレンビルには、ミシュランガイドにも載った“一粒庵”というラーメン屋があり、いつも行列ができているが、私の好みでは全然ない。

 今回寄ったのは昔から駅地下にある“青竜”という店。
 昔からあるのだから、きっと美味しいのだろうと初めて入ってみたが、そこそこ美味しかった。いや、腹が減り過ぎてじっくりと味わうという状況になかった。
 店員さんの応対もふつうに良く、関係があるのかどうかわからないが、某駅に入っている同名のラーメン店とは偉い違いだった。

 こうして、売り切れだのバームクーヘンだのといった仕打ちののち、私は1杯の醤油ラーメンで心身の調子を復活させることができた。
 そして、クレーはこの「復活」で、ある意味トラブルに見舞われた。

 ベルンハルト・クレー指揮ベルリン放送交響楽団によるマーラー(Gustav Mahler 1860-1911 オーストリア)の交響曲第2番ハ短調「復活(Auferstehung)」(1887-94/改訂1903)。この1982年のライヴはなかなか不出来な演奏だ。

 「♪グワ~ン…ジャラジャララッ」と威厳を持って始まる第1楽章はなかなか素晴らしい。
 第2~3楽章は、第1楽章ほどではないが、これも聴かせてくれる。
 が、第4楽章に入ると雲行きが怪しくなる。アルト独唱はリノスだが、私はこの人の声質も歌い方もダメ。しかも後半にはオーケストラとズレはじめる。

 終楽章では舞台裏のバンダ(ラッパ軍団)が、エスカレーターにすんなり乗れないお年寄りのようにワンテンポ遅れる。343小節からの舞台裏からの審判ラッパだ。
 まさかわざとじゃあるまい。
 まさかこれほど音がずれるほど、遠くに配置されてるのではあるまい。
 
 クレーについて、ONTOMO MOOK「指揮者のすべて」には「大向う受けするタイプではなかった」と書いてあるが。そういう問題じゃない。
 ライヴなのでいろんなハプニング、ミスはあるだろうが、このバンダちゃんにはまいった。どってんこいた。腹減って弱ってたのか?

 かといって、すべてが悪いわけじゃない。上に書いたように前半の3楽章、特に第1楽章は良い。終楽章だって、最後はうまく感動シーンを築きあげている(ということにしたい)。
 なお、ソプラノ独唱はプラウライト、合唱はベルリン聖ヘトヴィヒ大聖堂聖歌隊。
 Altus。