3b483d55.jpg  モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart 1756-91 オーストリア)のクラリネット三重奏曲変ホ長調Op.14,K.498(1786)。

 ピアノとクラリネット、ヴィオラというちょっと変わった編成の三重奏曲である。

 「ケーゲルシュタット・トリオ(Kegelstatt Trio)」と呼ばれることもあるが、ケーゲルシュタットというのは、日本語ではご存じ九柱戯(きゅうちゅうぎ)のことで(私の知っている日本語には入っていないが)、ひし形上に並べた9つのピンを倒すゲーム。ボウリングの前身となったものだという。

 この俗称は、モーツァルトがケーゲルシュタットで遊びながらこの作品を書いたという極めて眉唾っぽいエピソードに由来する。マージャンをやりながらでなかったのが、せめてもの救いである。マージャンと名のつくトリオって変でしょ?

 モーツァルトの友人の妹でピアノの弟子でもあった女性ののために書かれたそうで、クラリネットは親友のシュタードラー、そしてヴィオラはモーツァルト自身が弾くことを前提にしていたと考えられている。
 モーツァルトのヴィオラの腕前は相当だったそうで、この作品ではヴィオラの活躍が目立つ。

 誕生のいきさつが本当かどうかはともかくとしても、娯楽作品的にお気楽に楽しめる曲だ。

 ナイディックのクラリネット、レヴィンのフォルテピアノ、ヴィオラはラルキブデッリのメンバーであるKussmaul。

 このCDに一緒に収められている(というよりも、こちらがメイン)クラリネット五重奏曲イ長調K.581がこれまたすばらしい演奏。

4244eedb.jpg  ナイディックの温かみのある表情豊かなバセット・クラリネットと、ラルキブデッリの贅肉をそぎ落とした精緻な、しかし温かみのあるアンサンブルが絡み合い、緊張感を持ちながらも人間味あふれる音楽を繰り広げる。相当お薦めの演奏。

 なお、ラルキブデッリはバロック・チェロの名手ビルスマが主宰するガット弦使用の弦楽アンサンブル。この響き、私は好きだ。

 1992録音。ソニークラシカル(原盤VIVARTE)。
 ほかにK.378(317d)のヴァイオリン・ソナタをクラリネット四重奏曲に編曲したものも収録されている。

 先月号の文藝春秋に村上春樹の新作短編が掲載されていたが、1月号でも第2弾として「イエスタデイ」という短編が掲載された。

 やれやれ、小出しにするなぁ。
 また買わなきゃならないはめになってしまった。
 まだ読んでないけど。