“レコード芸術”は年に1度、1月号しか買わないというのが、良いか悪いかわからないが、ここ数年の私の習慣。
その掟を1度だけ破ってしまったのはおととしのこと。何のことはない、買い忘れたのだった。
なぜ1月号かというと、付録の“レコード・イヤー・ブック”をゲットしておきたいからだ。この別冊付録は何かと便利なのである。
そんなわけで、1年ぶりにこの雑誌を読んだわけだが、昨日紹介したエリシュカ/札響のドヴォルザーク/交響曲第8番のCDが特選盤に選ばれていて、ほほぅと思った次第。
また、“海外盤REVIEW”のコーナーでは、昨年このブログで紹介したネゼ=セガン指揮ロンドン・フィルによる録音が紹介されている。筆者はインド古典文学者の増田良介氏。
……旬の指揮者と歌手たちの顔合わせにふさわしい見事な演奏だ。スペンスは英国伝統の柔らかく渋めの声を持つテノールだが、その表情は知的でこまやか。一方、現代を代表するマーラー歌手のひとりであるコノリーの歌には、温かい包容力とほのかな官能性が感じられる。そして、ネゼ=セガンはオケから落ち着いた色彩感のある響きを引き出し、みずみずしい抒情性を発露させる。それにしても、かつては老指揮者とヴェテラン歌手のものと考えられていた《大地の歌》に、30~40代の演奏家たちによるこれほど優れた演奏が出るとは、時代の変化を実感させられる。 なるほど。
私の感想は、どこか面白みに欠けるというものだった。
あなたはどう思う?
そっちを支持する?って、選挙じゃないんだから……
同じコーナーで、同じく増田氏が、ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団が2012~13年にかけて録音したショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakovich 1906-75 ソヴィエト)の交響曲第8番ハ短調Op.65(1943)のCDを取り上げている。
ご存じの通り、ゲルギエフとマリインスキー劇場管は、1994年9月にフィリップス(当時)にこの曲を録音している。この新録音は、解釈の基本はあまり変わっていないものの、オケの響きは重厚さを増し、ゲルギエフの表現も彫りが深くなっているので、印象はかなり違う。ただ、ゲルギエフはいわゆる爆演をやるつもりはないようで、第3楽章でも他の部分でも、あまり激しい暴力的な表現というのはない。しかし、第1楽章や第4楽章の静かな部分での緊張感には凄みが感じられるし、終楽章も、微妙なアゴーギクを効かせて、この楽章の複雑な性格を浮き彫りにしている。なお、このシリーズはこれまで、なぜか大きな演奏ミスが修正されずに出てくることが多かったが、この8番はそのようなことはないようだ。
1994年の旧盤はここで取り上げているが、増田氏がここに書いていることに私は服従、はしないが、同意したい。
最初の音のすごみ度合いからして旧盤とは違う。
旧盤はどこか機械的な感じがなくもなかったが、こちらの新盤では深い情感がこもっている。いや、これは怨念か?そして、またまた一層、この曲のすばらしさが実感できる。まいったね……
旧盤も優れた演奏だったが、比較するとボクシングの判定にありがちなevenじゃなくて、新盤の方が上だと言わざるを得ない。密度の濃さに感嘆せずにはいられない。
コクが違う。料理で言うなら出汁が違うって感じか?まったく、お箸の国の人じゃないってーのに。
新旧比較して聴くと面白いが(といいながらも、何度も交互に聴いていると道に迷いそうになる。「どっちだったっけ?」と。そこが“基本はあまり変わってない”という証なんだろう)、正月から暗い気分になりたくないという人は新盤を優先することをお薦めする。これだけでもどっちみち気分はかなり明るくならないし。
いずれにせよ、この曲の名盤として最上位にランキングされる演奏だ。
MARINSKY(SACDハイブリッド)。
にしても、表紙のムローヴァ、すっかり貫禄がついたなぁ。
昔は若かったのに……当たり前だけどさ。
新館入口(2014.6.22~)
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