で、昨日の昼、担担麺を食べた。
正月中にやや肥えてしまったので、この際細かいことは気にしないでおこうと、小ライスもつけた。太っ腹だぁ~!二重の意味で……
しばしば利用する中華料理店なのだが、そこのお姉さんが「今年もよろしくお願いします」と言ってくれて、こういう姿勢が実によろしいものだと嬉しくなった。
が、ちょっと考えてみたら、私に言ったのではなく、私と一緒だった阿古屋係長か、あるいはヤマダ課長に言ったのかもしれない。
やがて担担麺が運ばれてきて、つまりこの時からずっと食べたかったわけで(って、ガマンしたのはたった2日だけど)、札幌エスタの四川飯店の担担麺が理想ではあるが、ここは札幌じゃないので余計なことは考えずに汁を一口すすり目を閉じる。するとラー油とごま油のフレーバーが鼻腔に充満し、じーんとした切なさと表裏一体のしみじみとした嬉しさがこみ上げ、頭の中にはロマンティックなメロディーが流れた。
なにかしら?このしみるようなメロディーは。
乙女のような気持ちになっちゃったアタシ。
スクリャービン(Alexander Scriabin 1872-1915 ロシア)のピアノ協奏曲嬰へ短調Op.20(1896)の第2楽章だ。
この楽章だけじゃなく、第1楽章も第3楽章も甘美でドラマティック。私の基準では名曲なのに、なんであんまり聴かれないのかなぁ。不当評価じゃない?
私はいつもそう思っている。新年になってもその信念は変わらない。今年はみずがめ座の運勢が第12位だ-実際TVで“にぃな・げぃと”がそう言っていた-だとどん底に突き落とされようとも私はひるまない。
確かに派手さはない。
でも、むせ返るようなロマン性、抒情性がある。二日酔いの朝のようなほろ苦いすさんだ感じもある。いや、賞賛してるんです。
S.ヴォルコフの「ショスタコーヴィチの証言」にはスクリャービンのオーケストレーションのひどさについて触れている箇所がある。
も一度書くと、
「ある講演のとき、ソレルチンスキイはスクリャービンのことを話していた。彼はスクリャービンのことがそれほど好きではなかった。スクリャービンの管弦楽法の知識は豚がオレンジを見分ける程度のものだ、というわたしの意見に彼は同意していた。わたしの見るところ、スクリャービンの交響詩のすべて、『神聖な詩』にせよ、『法悦の詩』にせよ、『火の詩』にせよ、いずれもちんぷんかんぷんである」
というものだが、豚がオレンジを見分けるという例えが私にとっていずれにしてもちんぷんかんぷん、ニコニコプン!だ。
ただ、ドラマティックなくせに派手さがない、つまりインパクトが弱いというところは、スクリャービンのオーケストレーションのせいなのかも……
このピアノ協奏曲も、楽譜を見たリムスキー=コルサコフは、「こりゃだめだ」と言ったかどうか知らないが、全体的にオーケストレーションを修正すべきであると助言したという。
しかし結果的には、スクリャービンが改訂した稿は初稿とあまり大きな違いはないそうで、それでも改訂稿に対してはR=コルサコフも満面の笑顔だったかどうかは知らないが、少なくとも難色は示さなかったという。
ちゃんと見たのかね、R=コルサコフは。それとも、好みが変わったのかね?
CDの発売点数も少ないのだが、今日はオールソンのピアノ、ペシェク指揮チェコ・フィルの真面目っぽい演奏を。
この曲を真面目っぽくやるとつまらないかと思いきや、やっぱりちょっとつまらないかも。
もうちょっとやらしっぽくやってくれればよかったのに……
1985録音。スプラフォン。
この曲、ラフマニノフにも影響を与えたという。
ラフマニノフのピアノ・コンチェルトがお好きな方は、これもきっと気に入るはずだ(とも言い切れない)。
いずれにしろ、私はビーフカレーよりもポークカレーが好きだし、オレンジよりも温州ミカンの方が好みである。
新館入口(2014.6.22~)
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