ee6c1713.jpg  ショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakovich 1906-75 ソヴィエト)が映画のために書いた音楽に、「マクシムの青年時代」Op.41(1934-35)、「マクシムの帰還」Op.45(1936-37)というのがある。さらに「ヴィボルグ地区」Op.50(1938)を合わせて、「マクシム三部作」というのだそうだ。

 私はいずれの映画も音楽も知らないが、きっとマクシムには青年時代があって、そのあとはどっかに行ってたのだが帰って来て、ヴィボルグという地区というのがあったんだろう。

 私にはマクシム(マキシム)というとコーヒーくらいしか頭に浮かばないが、スラヴ系に多い人名なんだそうだ。

 ショスタコーヴィチの息子の名もマクシム(マキシム)だ。
 1938年生まれ。マクシム三部作を書いていたころにタコ妻の妊娠・出産が重なる。

 指揮者でありピアニスト。
 むかし来日したときにTVで観たことがあるが、とても真面目そうで良い人っぽかった。

3018eae3.jpg  そのマクシムが振った父親の交響曲第10番ホ短調Op.93(1953)。
 このCDの裏面に載ってるのマクシムの写真は、若い頃の神経質そうな感じはなく、すっかりワイルド。ゲルギエフの真似してんじゃないだろうな?

 作曲者の息子だから、作品の良き理解者であるとは必ずしも言えないのかもしれないが、とはいえそういう定評がある指揮者だから、この曲も作曲者の意図が反映されていると考えた方が自然。

 だが、他の演奏者のものに比べ大きな違いはない。
 逆に言えば、そうメジャーな指揮者じゃないのに、すごく力のこもった、というよりも作品に心の芯から感情移入している感じがする人間臭い演奏(ショスタコ臭いって言うべきか?)。
 重厚かつパワフルだがオーバーになるところはない。やっぱり誠実な人なんだろう。関係ないかもしれないが……。残響が多いのはマクシムの人柄とは……関係ない。

 悲しみがしみじみと伝わってくるが、それもわざとらしくない。
 なんかジーンとさせられるのが不思議(特に第3楽章)。そしてまた、第4楽章の後半は、怒り爆発という感じ。マクシムさん、すっご~い! 
 D-Es-C-Hの動機が、「父よ!」と呼んでいるように聴こえてしまう。
 
 10番が嫌いでない方にとって聴いて損はしない、というよりも、機会があればぜひとも聴いて欲しい1枚。少なくとも息子は父の作品を立派に世に伝えていることに間違いはない。
 オーケストラはロンドン交響楽団。
 
9d61665d.jpg  1990録音。alto(原盤:フェニックス・ミュージック)

 さて、現実の季節に追いついた。
 読んでいる本のことだ。
 浅田次郎の「プリズンホテル」(集英社文庫)の第3巻「冬」に入った(つまり「ペテロの葬列」はまだ後回し)。

 阿部看護婦長、またの名を〈血まみれのマリア〉は心に決めた。温泉に行こう。雪に埋もれた山奥の一軒宿がいい……。大都会の野戦病院=救命救急センターをあとに、彼女がめざしたのは―なんと我らが「プリズンホテル」。真冬の温泉宿につどうのは、いずれも事情(ワケ)ありのお客人。天才登山家、患者を安楽死させた医師、リストラ寸前の編集者。命への慈しみに満ちた、癒しの宿に今夜も雪が降りつもる。

 自宅のあたりも雪が降り積もり続けているのだろうか?
 こちらキムチ、じゃなかった、勤務地はえらく寒いが雪は少ない。
 耳あてをつけての通勤姿は、自分で言うのもなんだが、かわいらしい。