先日バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)の「イタリア協奏曲」を取り上げた。レオンハルトの演奏のDHM(ドイツ・ハルモニア・ムンディ←そう書くなら最初から略すねって感じである)盤である。取り上げたのにたいして褒めなかったことに申し訳なさを感じている。
そんなレオンハルトさんとイタリアの次はフランスを体験してみよう。ホトケさんじゃないですよ。
その前にこんな曲集のタイトルを。
クラヴィーア練習曲集。前奏曲、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジッグ、メヌエット、その他の典雅な楽曲を含む。愛好人士の心の憂いを晴らし、喜びをもたらさんことを願って、ザクセン=ヴァイセンフェルス公宮廷現任楽長ならびにライプツィヒ市音楽監督ヨーハン・セバスティアン・バッハ作曲。作品Ⅰ 自家蔵版 1731年
これはバッハのクラヴィア練習曲集第1部の表題で、収められているのは「6つのパルティータ(6 Partiten)」BWV.825-830である。
愛好人士の心の憂いを晴らす上に喜びまでもたらすってのがすごい。
この4年後の1735年、続く第2部が刊行された。
その標題は次のとおり。 クラヴィーア練習曲集 第2部。イタリア趣味による協奏曲とフランス様式による序曲各1曲、いずれも二段鍵盤のクラヴィツィンベル(チェンバロ)のための楽曲を含む。愛好人士の心の憂いを晴らし、喜びをもたらさんことを願って、ザクセン=ヴァイセンフェルス公宮廷楽長ならびにライプツィヒ市音楽監督ヨーハン・セバスティアン・バッハ作曲……
再び心の憂いを晴らしてくれようとしてくれたのだ。
この練習曲集第2部には「イタリア協奏曲」と「フランス風序曲(パルティータ)」(Ouverture(Partita))ロ短調BWV.831(1734?)が収められている。
で、今日は「フランス風序曲」。
名前が似ているが、「フランス風序曲」は「フランス組曲」BWV.812-817(1724頃)とは別な作品であることを、念のためここに記しておこう(全6曲からなる「フランス組曲」の第1~5番は「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」第1巻に含まれる)。
そして、「フランス風序曲」の原形は「パルティータ第2番」ハ短調BWV.826なのである。
当時はイタリア同様、フランスもドイツよりも音楽先進国だったが、バッハがフランスの様式を用いてこの作品を書いた。
《フランス風序曲ロ短調》のほうは、やはりフランスのモデルに従っているバッハの管弦楽組曲を思い起こさせる。しかしここでは楽曲構成が拡大されて、全部で11になっている。序曲-クーラント-ガヴォットⅠとⅡ-パスピエⅠとⅡ-サラバンド-ブーレーⅠとⅡ-ジッグ-エコー。組曲として考えられるすべての可能性が投入されている観がある。伝統的な終結楽曲であるジッグに、なお1曲のエコー楽曲が付け加えられているが、そこには舞踏音楽の背景から全く切り離された、デリケートな音楽の残照がかそけき夕暮れにこだまするのである。
レオンハルトの演奏は優雅、典雅というよりは、凍てつくような感じがある。
その厳しさは、バッハの肖像画の顔のようである。
1967録音。ドイツ・ハルモニア・ムンディ。
なお、緑色の文字の部分はW.フェーリクスの「バッハ 生涯と作品」(杉山好訳。講談社学術文庫)からの引用である(←なに威張ってんだか……)。
「イタリア協奏曲」では、私はロスの演奏が好きだ。マイクが小鳥のさえずりを拾っているのが何とも微笑ましい。
新館入口(2014.6.22~)
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