今日は、このあと札幌へ帰る。都市間高速バスに乗って。
スムーズにいったとしても、自宅に着くのは何だかんだで2時ころになるだろう。だって、そのあとのことを考えて、体に栄養がつくような昼食を食べたりしなきゃならないから。
家を目の前にして立ったときに、私があまりにも雪深い状況にしばし呆然としてしまうのか、それとも覚悟していたよりも雪が積もってなくて小躍りしちゃうのか、自分でも予想がつかないし興味深いところだ。
そしてまた、私の気持ちを過積載のトラックのように重くしているのは、昨日の朝に思い出したように届いた1通のメールだ。
自宅のご近所の奥さんから妻の携帯に送られてきたのだが、文面は「ゆき、すごいよ」というものだった。雪が多いと知らされて明るい気分になれるのは、雪まつりの実行委員会ぐらいじゃなかろうか?
が、いずれにしろ、ベランダとカーポートの雪を下ろし、灯油タンクまでけもの道のような足跡をつけ、さらには暖房の排気口のそばの雪を除ける。そして仕上げは玄関アプローチの雪かき。少なくともこれらはやりとげなければならない。
最近は雪下ろし作業中に転落するという事故も多く報道されている
カーポートに上っての作業は慎重に行なう決意だが、とはいえ、のんびりやっているとあっという間に日が暮れてしまう。
何を言いたいのかというと、やりたくない気持ちと時間との勝負ってわけだ。
あっ、しまった!いま思いついたが、ヘルメットを買っておくべきだった……
明日の昼には自宅を後にし、再びバスに乗って戻って来なければならない。
精を出し過ぎて、激しい肩こり、腰痛、排尿痛に襲われ、帰りのバスに座ってられないようになっても困る。ひどく困る)。
だから適度な手抜きも必要なわけで、案外と力加減がむずかしい。
このように、今回の“帰省”は雪かき&雪下ろしのためだけのもの。なんとも豪華な1泊2日の旅と言えなくもない。
できれば、今日中に終わらせて、夕方にはバブを投げ入れた浴槽につかり、明日の午前中は肉体労働を続ける必要がない形に持ち込みたい。
そして私は、家の中からすっかりきれいになった朝陽を浴びるカーポートの屋根をぼーっと眺めるのである。「実に良い仕事をした」。そういう満たされた思いで……
話は変わるが、水曜日にべリンスキー侯が、仕事でわが勤務地にやって来た。
オプションで、仕事もないのにアルフレッド氏もついてきた。
ご存知ない世代の読者も増えてきていると思うのでこの2人が誰かと最小公倍数的に説明すると、私がおととしまでの札幌勤務時代にたいへんにお世話になり、それ以上にお世話した取引先の支社長と副部長さんなのである。
念のために申し上げておくが、2人とも国籍はニッポンである。
べリンスキー侯は今月いっぱいで定年退職を迎える。雪国での単身赴任生活にピリオドを打ち、首都圏の自宅に戻る。
この日、私は夜の会食が別にあったのだが、それが終わったあと、この2人、つまり出張でやって来たビジネスマンと旅人のようなサラリーマンと合流し、ハイボールを飲みながら久しぶりにそれぞれが思い思いの独り言をつぶやいた。
そして仕上げにラーメンを食べてしまったが、いくら酔っていても冷静な私は、醤油ラーメンに小ライス、なんて成人病外来の看護師が激怒するような注文はせず、醤油ラーメンのハーフにした。
すると2人も私のマネをして、ハーフにした。でも、実に主体性のない人たちだなどと非難することは間違っている。
べリンスキー侯が頼んだのは焦がし醤油ラーメンだったし、アルフレッドが頼んだのは味噌だった(ような気がする)。このように反抗的態度で、味については私に同調することはなかった。
黙って食べりゃいいのに、皆で「うまい、うまい」と言いながらラーメンをすすり、そして「おやすみ」と言って別れたが、もうすぐ札幌の勤務に終止符を打って本州に帰ってしまうべリンスキー侯が「それじゃ、どうも」と名残惜しくなさそうに言っているのに(きっと涙をこらえるのに必死で、そっけないそぶりをとらざるを得なかったのだろう)、いつもどおり札幌に戻るだけのアルフレッド氏が愛想の良い道化師のように私に握手を求め、「いやっ!」と拒否する暇もなく手を固く握りしめてきた。
「おいおい逆じゃないの?」って気もしたが、ラーメン屋の前でそれについてを論議するのはまるで酔っぱらいのようだし、とにかく寒かったので、疑問はそのままにして別れた。
それにしても不自然なくらい温かな手だった。きっとラーメン丼からの余熱だろう。
そんなこともあって、翌朝は胃が少々重かった。
やはり仕上げにラーメンなんか食べちゃいけないのだ。
でも、朝ご飯はちゃんと食べたし、昼は近くの食堂で親子丼を食べた。
私の消化機能は正常のようだ。
でも、ヤマダ課長と阿古屋係長がチャーハンセットを頼んだとき-チャーハンと半ラーメンのセットだ-、私だって負けてたまるものかと思ったが、やっぱり親子丼に甘んじることにしてしまった。
いくつかの関連キーワードから、今日はリムスキー=コルサコフ(Nikolai Andreevich Rimsky-Korsakov 1844-1908 ロシア)の歌劇「雪娘(The snow maiden)」(1880-81/改訂'95頃。初演1882)。
プロローグと4幕からなる作品で、オストロフスキーの劇から作曲者自身が台本を作った。
物語は、
寒気(さむけ、じゃないですよ)の翁と春の精の間に生まれた雪娘。彼女は美しいが心が冷たいために恋ができない。羊飼いレルには見向きもされず、ようやく商人ミスギールと結ばれたが、そのとき雪娘は死ななければならなかった。
というもの。
レルは見た目よりも性格を重んじる男だったようだ。
商人は性格はブスでも構わない、容姿が大事ってことだが、このどちらをとるかは、男にとって究極の選択だ。
どっちにも相手にされない男もいるわけではありますが……
さて、今日はそのオペラから4曲を選んだ組曲版を。
「イントロダクション/鳥たちの踊り/皇帝の行進/道化師の踊り」で、いずれの曲もロシアの民謡風のメロディーが心地よい。また、この中ではとりわけ華やかな「道化師の踊り」が有名である。
私が聴いているのはアンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団による演奏。「鳥たちの踊り」での美しい合唱は、モテット・デ・ジュネーヴ。
1957年の録音だがなかなか良い音。さすがデッカ。
リムスキー=コルサコフが2日続いたが、これは偶然。
寒さと道化師のせいである。
なに?記事が投げやりだって?
重労働をひかえて、ナーバスになってるんだっつーのっ!

武士か!?