昨日、バスが札幌駅に着いたのは、12:15だった。
前日の晩に、長男から家に帰って来たという連絡があり、妻が「だったら雪かきをしてくれていると助かる」と頼み、さらに昨日の朝には物置の鍵のありかはどこかという電話があったので、少しは雪かきをしてくれているという期待が持てた。
札幌駅に着くと、自分たちと息子の昼食のためにESTAの地下で弁当を買い、自宅へと帰った。
家の前に辿りついたとき、私が目にした光景は、ウサギのダンスをしたくなるようなとても喜ぶべきものだった。
というのも、長男はカーポートの上で雪おろしの真っ最中だったのだ。それもほぼ終わろうとしていた。
物置の屋根の上も、ベランダも、すでに雪下ろし済みだった。
長男は疲労のせいで苦渋の表情を浮かばせていた。
私たちの姿を見ても、笑顔もなく、厳しい顔をしていた。
「弁当を買ってきたから下りてきて。あとはお父様がやるから、終りにしていいよ」
このように私は心から感謝して言った。
家に入った彼は、ソファにしばし呆然と座っていた。
「フーガの技法」の全曲を無理やり聴かされた、クラシック嫌いの青年のように。
私は自分の弁当の、鶏の唐揚げとクリームコロッケを譲渡してあげた。
このとき父親としてできることは、これくらいしかなかったのだ。
バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750)の「フーガの技法(Die Kunst der Fuge)」BWV.1080(1745-50/1751刊)。過去にも書いたように、全19曲からなるバッハの対位法の極致を示すものと言われる作品で、第19曲は未完。第18曲が2台のクラヴィアで演奏する以外、演奏楽器の指定がない。 私は室内合奏で演奏した物の方が好きだが、チェンバロのみで演奏したもので例外的にひどくひきつけられるのはレオンハルトのものだ。
この演奏、頑としていて権威的だが、それでいて聴く者を威圧したり、愛想なく拒絶したりしない。
適度な緊張感と冷静さは、レオンハルトの解釈が、食品でよく言われる「安全・安心」を聴き手に与えてくれる。
なお、未完のフーガは「フーガの技法」に含まれないというレオンハルトの持論から、ここでは演奏されていない。
1969録音。第2チェンバロはアスペレン。
ドイツ・ハルモニア・ムンディ。
弁当を食べたあと、今度は私がカーポートの屋根に上った。
全体の9割が終わっており、私は残り1割分を下ろし、さらに庭に積み上がった雪山(写真)を少し崩して低くし、あたりに散らばった雪を近くの空き地まで運んだ。
この作業は14:15から始めたが、終わったのは16:10だった。
息子はというと、8:30から始め、私たちが帰宅した13:40までやっていたそうだ。
ということは、たとえ今日の午前中を考えても、私1人ならすべての作業は無理だったということだ。
いやいや、持つべきものは息子である。
この次も、ぜひお願いしたいものだ。
そして、2時間の、最後の仕上げ作業しかしていないのに、私の身体は今朝、あちこちが痛い。
新館入口(2014.6.22~)
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© 2007 「読後充実度 84ppm のお話」
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いや、いつもやってくれてるわけではないので。でも、今回はほんとうに感謝です。