45cde49c.jpg  とある道東の町。

 国道38号線沿いの道の駅、に隣接する食堂に日向山課長と立ち寄り、昼食を食べたのは去年の5月のことだった。
 前の日に飲み過ぎた、もしくはおなかを冷やした、あるいは悪いものを食べたせいで、私のおなかはゴロゴロQって感じだったが、なぜかカツカレーを注文してしまった。
 しばしば起こる、体と頭が相互リンクしていない状況に陥ったのだった。
 だから、実際はどうかわからないが、そのときは美味しく感じられなかった。

 会計を終え店を出ると、その玄関先に鉢植えが1つ放置されていた。
 その土の上には小龍包くらいの大きさの緑色の球根があり、頂から枯れかけた葉が伸びていた。
 そして、球根の横には多数の小さな球根が付着していた。

 この植物、中学生のころに育てていたことがある。
 当時、となりの家のおばあさん(とっくに没)がくれた。おばあさんは名前は“アオダマ”だって言っていたが、どう考えてもウソとしか思えなかった。青い球。そのまんまもいーところだ。しかも青じゃなくて緑だし。

 その後、北大植物園に行ったときに、温室に同じ植物があって、アルパカと書かれた名札がついていた。

 さて、久しぶりに目にした瀕死のアオダマ。
 思うに、この先も世話されそうにないので、私は横についている小さな球根を1つ取ってポケットに入れた。
 す、す、すいません、つ、つい、魔がさしてしまって。
 で、でも、あのままだときっとじっと死を待つだけだったと思うのです。私は救い主なのです。だからお赦しください。

 …… 
 あれから8か月余り。
 土の上に転がしておいた子球から最初は糸のような葉が出てきて、いまや球根は倍の大きさになり葉も葉らしくなった。

 この球根の、うす皮の下の緑色がなんとも魅力的だ。銀杏を思い起こさせる。

6bdde59b.jpg  が、ネットで“アルパカ”と検索しても、ウマみたいなものが出て来るばかり。
 そこで、球根とか緑とか観賞植物とかテキトーにやっているうちに、やっとヒットした。

 この植物、ニセカイソウ(偽海葱。Ornithogalum caudatum)というらしい。
 コモチカイソウ、コモチランという別名もあるようだ。トックリランと書いているサイトもあったが、どうもニセカイソウとトックリランは科からして違うみたいだ。

 偽ってくらいだから、本物もある。
 カイソウ(海葱。Urginea maritima)である。
 偽物(ってわけじゃないが)とホンモノの違いは、カイソウの子球は土の中に生まれるが、ニセカイソウは球根の側面にできる。また、カイソウの花は白一色だがニセカイソウは花びらに緑色のラインが入るのだそうだ。

 そうだ。思い出したぞ。
 むかし育てていたとき、確かに花が咲いたことがあった。
 でも、けっこう肥大したあの球根、どうしたんだっけな?タマネギと間違えて食っちまったか?

bd86a2e5.jpg  いずれにしろ、大きくさせてみせる!

 そこで、モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart 1756-91 オーストリア)の歌劇「にせの女庭師(La finta giardiniera)」K.196(1775初演)。
 バイエルン剪定、いや選帝侯の依頼によって書かれた、ペトロセッリーニの台本による3幕からなるオペラ。

 “偽物の女、の庭師”(ってことは、バカボンのパパのような男の庭師だ)が現われたり、女性の偽物の庭師が庭木をずたずたにするという内容ではなく、ベルフィオーレ伯爵に裏切られたヴィオランテはサンドリーナと名前を変えて市長の家の庭師をしていたが、市長が彼女に恋をする。しかし、ベルフィオーレが現われ2人は元の鞘に納まる、ってもの。
 なんなんだよ、いったい!

 序曲をアーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスの演奏で。
 1991録音。テルデック。

 この序曲は「交響曲ニ長調K.196+121」でも用いられている。
 序曲にフィナーレとしてK.121(207a)(1774-75)を加えたもので、通し番号はついていない。
 私はポンマー指揮ハンブルグ・カメラータの演奏を(ごくたまに)聴いている(1999録音。アルテノヴァ)。

 にしても、あの時見た“アルパカ”っていう名札は何だったのだろう。
 幻覚だったような気がしてきた。
 
 さて、木曜日にかかりつけの病院に定期診断に行ってきたわけだが、電話予約時の約束は無視され採血もされた。
 そりゃそうだよな。ドックが近いといっても4月のことだから、やはり採血免除の理由にならなかったわけだ。結果は次回通院時に教えてもらうことにしたが、あまりにも異常な数値があった場合には電話が来ることになっている。昨日までコールされなかったから、明らかな異常はなかったと判断できるだろう。

 で、褒められたことがある。
 体重が69.2kgだったのだ。
 お医者さんが言うには、正月のあとだっていうのに年前と比べ増加してないのが評価できるということだ。
 褒められて調子に乗って「いやぁ、もっと低いところで安定してくれればいいんですがね。アハアハアハ!」と言ってしまった。余計だった。次回に向け、自ら首を絞めるようなことを言い放ってしまった。

 にしても……。そっかいつもは朝一番に行って体重も測るが、今回は11時過ぎだった。
 腹が減っていた分、軽くなっていたってことなのかもしれない。